「ふるさとは遠きにありて思うもの」と室生犀星の詩にあります。
湯沢市出身で舞台女優として活躍するかたわら、旧来の日本舞踊各派で精進したうえで新舞踊「波島流」を旗揚げし、東京・浅草雷門に稽古場を構えた波島陽子もまた「ふるさと」を常に思う一人です。
芸どころと言えば江戸は浅草と言われ今でもその賑わいは日本一です。 その浅草で今では、東京都内の日本舞踊教室入門者ランキングで第一位を獲得していますが、その“愛郷心”はプロフィールに「特技は秋田弁」と公表するほどです。
一門の弟子たちに「わがふるさと」を知ってもらうと共に「江戸で花開いた粋の文化」を
ふるさとの舞台で存分に披露したいと「里帰り公演」を企画。
(東京都内の日本舞踊教室ランキング10選 http://my-best.com/5807)
一方、「ふるさとを離れずに、ふるさとを愛し続ける」生き方もあります。
「湯沢湯乃華芸妓」の皆さんは、数十年前まで存続した湯沢芸者の伝統を復活して5年、「お座敷での芸事」を積んでいます。 普段はお座敷に限られた舞いや踊りですから、なかなか一般市民からは近くて遠い存在かも知れません。 そこで、ふるさとから離れて精進を続ける波島陽子と、ふるさとの内にあっても精進の様子を垣間見ることが稀な湯乃華芸妓の皆さんとが、一堂に会しての花舞台を繰り広げ、市民の皆さんに“粋”と“艶”の文化を堪能していただこうというのが、今回の狙いであり願いでもあるようです。
波島陽子の教室では、現在80余名もの若い生徒さんが日々日本舞踊のお稽古に余念がありませんが、その評判は非常に高く年間約2000名もの外国人観光客の皆さんに日本舞踊や振袖等着物体験を楽しんで頂いております。
また、全国の日舞愛好者の皆さん約4000名が波島作品で新舞踊を楽しんでいるのも素晴らしい現実かと思います。
波島自身、この素晴らしい日本の伝統を広く日本の若者たちに伝えたいと日々努力する傍ら、世界各国への訪問公演および招待公演を実施して参りました。 また、台東区の姉妹都市デンマークのグラズサックセ市を親善訪問する中学生に、現地で披露するための日本舞踊を11年連続で指導していることが「国際理解重点教育中学生派遣」の目的に大きく貢献しているとして令和元年9月に台東区教育委員会から表彰を受けました。
このような活躍と人気は、おそらく故郷で生まれ育った気概が基で東京で芸の地盤をかためつつあるのだと思います。 それはまさに、新時代への橋掛かりとなる平成最後の昨年2月には銀座にある観世能楽堂(GINZASIX)での公演を果し、舞踊界における「波島流」の評価と共に大きな自信を得たことで本人も自覚しつつあります。
その波島陽子が本年は「芸能生活35周年」という記念の年を迎えました。
そして、ふるさとで伝統復活5周年の「湯沢湯乃華芸妓」さんに大きな感動と共感を得たことから、それぞれの節目を記念して、「外から応援するふるさと」と「内にあって守るふるさと」の合同公演によって、波島陽子の故郷への恩返しがささやかなりとも実現できるのではないかと企画した次第です。
この公演が成功することで、市民の皆様の「ふるさとへの思い」が更に強まることは「地域創生」の一助になることと信じつつ、関係者の皆様のご支援ご協力を賜りたく改めてここにお願い申し上げる次第です。
「湯沢湯乃華芸妓」の皆さんも本当に頑張っております。 多くを見て来た私でも、芸を極めたいと頑張っている波島でも浅草や新橋に勝るとも劣らない素晴らしいものと喜んで湯乃華芸妓さんと手を組み今回の公演を成功させたいと期待しておるところです。
湯沢の歴史と情緒をふんだんに盛り込んだ舞台を、お一人でも多くの皆様にご堪能いただけますことが、舞台を企画し運営する者にとっての喜びです。
波島の人柄でしょうか、故郷を思う波島の心根に打たれ、舞台は東京の明治座舞台様が引き受けてくださることになりました。 友情出演にと新舞踊の歌の女王と言われる「相原ひろ子」さんも駆けつけ舞台を盛り上げてくれることになりました。
波島は現在、湯沢の子供たちの為に新しい楽曲「チビッ子こまち音頭(仮題)」を音楽家に依頼楽曲が上がった段階で振付をし、楽しい祭りの一助にと制作中です(無償制作)。
令和2年は「湯沢市ふるさと応援大使」として更にその思いを強くし故郷創生に一歩踏み出しました。
祭り(今回の舞台も)は一部の者が頑張っても成り立ちません。 どうぞ大きなご支援ご協力のほど心よりお願い申し上げます。
企画立案者:岡部俊雄