阿国と日本舞踊

振付師波島陽子の作品に「阿国舞扇(おくにまいおうぎ)」という作品があります。
この楽曲は既に廃盤になっていて波島も知りませんでした。
今から8年ほど前でしょうか、ブラジル在住の日系人の方から一通のメールが届きブラジルでの祭りで日本舞踊を踊りたいのでと振付の依頼を受けたのです。
送られて来たCDを聴くと「なんて素晴らしい作品!?」。 波島はひとつ返事で振付を快諾しました。

「出雲阿国」、これは歌舞伎や日本舞踊を愛する人なら勿論ご存知と思いますが、「歌舞伎」や「日本舞踊」を語るときに外せない歴史物語ですね。
阿国の出身は出雲大社の巫女であり、大社修復のため諸国を勧進して回ったとも言われていますが、つまりカブキ踊りの始まりで、その後阿国によってカブキ踊りを誕生させることになったとされているのです。
阿国が京に滞在中、蒲生氏郷の小姓でそれはそれは美男であった名古屋山三郎との劇的な出会いによって多くの伝説が生まれました。
京に上がった阿国と山三郎の結びつきはとても自然で、二人は愛を育みながら芸を高めるということになるのですが、悲運にも山三郎は洛中で討たれてしまいます。
そうした悲しみの中で阿国の創り上げたカブキ踊り。 日本舞踊の誕生にはそうした時を経て今があるようですね。

美しくも悲しいその踊りはカブキを通し、広く日本人の心に宿っていったのでしょう。

今、国内の日本舞踊愛好者の中で波島陽子の振付けがとても注目を集めています。歴史が好きな波島にあってその心情を見事に表現され、一般に言われる「新舞踊(演歌や歌謡曲)」をものの見事に美しい日本舞踊に創りあげているのです。
作品の依頼は日本全国から舞い込んでおりますが、1作品踊った人は3~4曲とその後の注文が続き、多い人は80曲も波島作品を持っている人が何人もいます。
「もう、陽子先生の作品しか踊れません!」、そう言って御礼のお手紙が届きます。
純粋に、美しい歌舞伎や能の手を駆使して創り上げる作品はどの作品も見事です。
全国から寄せられる「感想文」を一冊にまとめたいくらいです。

波島が振付けをしているときの雰囲気を「鶴の恩返し」のあの機織りのシーンに例えたことがありましたが、まさに命のたぎるほどに・・・と言える芸術と生まれ変わります。
阿国に会ったことはありませんが、「求める思い」は阿国と一緒のように感じるのは私だけではないようですね。
日本舞踊の美しさはそのまま心の美しさとして表現されているのが波島陽子の振付けで分かります。

 

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