日本の文化の担い手

平成21年、波島陽子日本舞踊教室を立ち上げて3年目に台東区の教育委員会から依頼を受け、区立の中学校の生徒17名に日本舞踊を指導して欲しいとこの企画がスタート。

早いものであれから11年目。 11回目の依頼が令和元年も舞い込んで来ました。
学生たちは台東区の姉妹都市であるデンマークのグラズサックセ市に「台東区国際理解重点教育中学生海外派遣」の一環としてその親善大使で毎年8月の夏休みを利用して出かけます。
「紙風船」や「竹とんぼ」、「習字」や「唱歌」、日本の文化や伝統を披露するわけですが、中でもこの「日本舞踊」がとても好評ですっかり定位置に収まった感があります。
ご存知のように、日本舞踊は1ケ月や2ケ月でそう簡単に身に着くものではありません。
最初5時間(5日間)で仕上げて欲しいと伺った時は耳を疑いました!! 日本舞踊を少しでもかじった人なら分るでしょうが・・・、人前で見せれるには最低1年はかかりますからね。
最初の団長さん(校長)の熱意に押され何とかお引き受けしたものの当初はやはり心配でした。

もの覚えの良い年齢ということ、それから17名ですから当然「群舞」ということになります。
つまり、全員が綺麗に揃う・・・ということを基本に以降美しく美しく仕上げて来ました。

最初にご披露したときは大きな反響で現地では大変な喜びようだったようです。団長さんに、「いやいや大盛況大成功でした・・・」と報告を受けなんとか胸を撫で下ろしたことを昨日のように覚えています。

学生たちが着る「ゆかた」は若いだけに可愛らしく、清純さと美しさが受け1回の公演予定があっちでもこっちでもと4回ほど披露しました・・・・とのこと。
確かに、日本舞踊教室を運営していてその素晴らしさはとても強く感じ取っています。日本の若者たち(当教室は平均28歳くらい)も約80名ほど雷門教室に通っていますが、見違えるようになりますね。 そして、その若者たちは自信をもって日本の伝統文化を楽しんでいます。
当教室の指導者(家元)波島陽子は驚くほど謙虚で思いやりいっぱいに指導を続けていますが、なかなかここまでの指導者にはお目にかかれません。
波島は全国に「振付作品」を提供していますが、その作品がまた評判よく今や全国何千人もの日本舞踊愛好者のみなさんが波島作品で楽しんでいると聞きます。

「何がそんなに素晴らしいんだろう・・・」と思う人も沢山います。 答えは簡単です。
まず何と言っても作品が美しい。 これはまさに日本の心で踊っているからです。
この日本の心そのものが着物にマッチしその美しさは例えようのない作品(もの)となって観衆の目を楽しませています。 従って、デンマーク行きの子供たちに指導する上でこれ以上ない指導者と言えるんでしょうね。  身びいきではなく、これだけの作品(振付)を5時間で指導できる人が居たらお目にかかりたいほどです。

写真はご存知アンデルセンの代表作「人魚姫」ですが、コペンハーゲンに行ったりデンマークの生活様式等日本との違いをそれぞれの目で学んで来ます。
外国に行って初めて知る日本の素晴らしさ。また外国の素晴しさ!まさに重点教育そのものです。
特に、浅草は日本を代表する観光地です。 毎日本当にいろんな国からの観光客の皆さんを受け入れていますが、波島教室も日本舞踊や着物体験等で年間1500名以上の観光客のみなさんがお稽古場にやって来ます。
私たちは私たちで感じるものは多いですが、実際に外国に行ってみるとそれはそれで勉強になることが沢山ありますね。
私は、日本舞踊を披露することは勿論だけど、この機会を利用して自信をもって日本を紹介して来てほしい・・・とエールを送っています。

心の想いがしぐさになって、着物の美しさが更にその振る舞いによって見る人を惹きつけて離さない。 難しく言えばそれこそが日本の温かな心の文化なんだと思っています。
日本舞踊を発表(ひろう)することで返ってくる反応こそが日本の素晴らしい文化なんですよ・・・と指導し続けています。
教育委員会が試みるこの企画の輪を、もっともっと広めたいですね。 灼熱の太陽の下、涼しい旅先で思いっきり夏休みを堪能してきてくださいな。

 

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