「そうなんだ!あれから1年経ったんだね・・・!!」
昨年の今日(10/30)浅草公会堂での舞台(燦陽譜)だったんですね。早い、本当に早いと思う。

大盛況で超満員だなんて想像もしていなかっただけに、開演前の満席に涙腺が緩んでしまったことを覚えています。
多くの皆さんの評価こそが張り合いになりまた1年が過ぎました。実力以上の舞台になったそれぞれの演目。
師匠を信じ、自分を信じてお稽古した期間を思うと尚更感慨無量です。
昨年の舞台は、波島陽子が「芸能生活30周年」という記念で節目の年だっただけに素人軍団をこの大舞台に上げられたのです。

何でもそうですが、何かを成し遂げるのに自分一人で出来ることなど何ひとつありません。舞台で言えば、着付け・メイク・かつら・舞台監督・照明・音響・司会者・受付・楽屋担当の皆さん等々。そして何より踊りを観に会場まで足を運んで下さるお客様。
思い出しますね。チラシやパンフレットをデザイン制作して下さるスタッフ。
私はつくづく波島陽子はそうしたスタッフに恵まれた女性だと思いました。
その殆どがみな心から応援して下さってこの大舞台が成り立つ訳ですからね。

昭和の終わりに上京し淺香光代先生の門を叩いた波島陽子。子供の頃からお芝居が大好きだったそうです。
この大好きというのが大切なんですね。上達の条件は何と言っても好きでなければなりません。小学校の頃から時代劇が大好きだった少女はそれだけに歴史にも自然と興味を抱いていたようです。
歴史を知ることが作品を創る上でどれだけ大事かが如実に表れる訳で、それが才能へとつながり素晴らしい振付師が誕生したのです。
確かにどの作品を観てもお世辞抜きで感動できるのは「芝居心」の中に、持って生まれた感性とセンスを感じとることが出来るところでしょう。
他の流派に通い続け、その美しさを完成に導いた根性は見上げたものです。
独立して「波島流」を創流できたのもそこにあるのではないかと思います。

そんな姿を傍らでずっと見守って下さった人が居ます。入門以来ご指導頂いた着付師がその方です。世の中には勿論一流という人がおりますが、まさに一流中の一流でした。私がいろんな舞台(イベント会場)へ行ってみて実感として分かります。この時代、今から5~6年前くらいから外国人向けのイベントが非常に多くなったのは周知のとおり。
特に浅草は外国人観光客の数は半端ではありません。そこに目をつけた業者が今や異常なほどのひしめき合いです。「当社で着付けます」、多いですね!
しかし、残念なのはその技術です。外国人は分かりませんから着せ替え人形のように着せられるままです。
昨年もある大きなイベント会場でその光景を目にしました。私たちは日舞の出演で独自に着付けの先生に同行頂いたのですが、その会場にはインバウンド関係の会社がスタンバイした着付担当が2名ほどいました。
私たち出演者に着せる様子を見ながらびっくりしていました。「こんなに早く、こんなに綺麗に着つけるなんて・・・!」本心でしょう。
時々私たちはこのように他の着付師と出会うことがあります。私どもの担当してくださる着付師とは月とすっぽんと言える差です。それでも商売として成り立っているんだという現実。
本物を追求する我々には参考にもなりませんが、悲しいのはそれが着物姿ではないということです。緩々で着崩れは勿論と課題がいっぱい!!
私はそのことを批判しているのではなく、浅草でもまがい物に近い着物姿で商売をしていることに対する懸念です。
分かりやすく言えばこれが食品なら一目瞭然でしょう!!つまり不味ければ食わないということです。むかし、沖縄海洋博がありました。日本の本土復帰も兼ねてそれは沖縄にとって一大イベントでした。
ところが、この機会を逃すなとタクシーやホテル・食堂等々がだいぶぼったくったとの事。これで観光で生きたい沖縄のイメージは大変なことに。
東京も例にもれずまもなく東京オリンピックがあります。ここぞとばかり商売をするのではなく、日本らしく本物で商売をしたらどうかと思う。
つまり、基本的に提供するのは「心」だということ。良いニュースが良いに決まっています。
波島を支えて下さるスタッフもみなさん本当に実力者ばかり。ここには人間関係も大きく関わってくるんですね。人間だから、すねたり怒ったりは日常茶飯事ですが、一部、「自己中心的」な心の持ち方さえ改めたら素晴らしい人間ばかり。

昨年の公会堂の舞台を通して、このスタッフの影響の大きさだけは避けて通れません。燦陽譜(発表会)が大成功に終わったのも全てそうしたスタッフのお陰なんですね。日本舞踊を通じて特にこの着付師の先生から見習うことは大きいです。それだけに波島は幸せです。
舞台を観てくださる人は踊り手だけではないんですよ・・・と言いたい。
出演者本人だけではありません。そこにはメイクさんが居て、着付けがあり、かつらを着用し舞台に立てば音響・照明・美術(大道具)・舞台監督・司会者、そして楽屋や受付担当のスタッフのみなさんが居て初めて幕が開く訳です。
しかし、私たちが恵まれていると思えたのはそのスタッフがみな一流だったということです。こうしたスタッフに囲まれてできたんだと出演者の皆さんが分かってくれたら最高ですね。

どんな時でも、素晴らしい舞台を提供する。これは心の持ち方次第だとつくづく思います。私も何十年と舞台(イベント)に関与して思うのは、どのイベントでも必ず一人や二人不平分子が登場します。考えてみれば、自分のことが中心で心が左右する典型でした。やはりそれは素人です。
プロはそこが違います。人を思いやれるのもプロの条件で何にも代えがたいものなんです。心が備わってこそプロなんですね。儲けよう儲けよう!自分の満足が第一では必ず崩壊が待っています。
あれから1年が経過して、更に夢を実現したしとする若者をどう導いて行ったら良いのかは実際迷います。でも、何かを成し遂げようとしたら「何かを」犠牲にするくらいな覚悟がないと夢など実現しません。覚悟はときに孤独なものです。この孤独に勝てるのが本当の勇気でしょう!
私も更にまた一歩からと思っています。決意をしながら本物を探し求めようではありませんか!?

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