ここ数年、急激に体験ツアーと称し日本の文化を紹介・体験する場所が増えて来ました。
私自身、子供の頃から時代劇が大好きで、この分野では自称博士級だと自負しています。
親戚が東映映画封切館を営んでいたこともあって同じ作品を最低5回は観ていただろうほど映画館に通ったものです。
母は芸者さんの着物を仕立てたり、親戚に織物会社が居たり、考えてみたらずっとずっとそうした環境で育った訳です。
遊びと言ったら川や山、手には柳の枝で作った大小の刀。テレビではもっぱら大相撲観戦。
相撲界についても博学ですがよく知っている方です。
いろんな職業を経験して来ましたが、結局波島陽子のプロデューサーとしてその力を発揮するための基礎練習だったんだと思えてなりません。
日本文化伝統は決してデジタルではありません。その良さの殆どがアナログの素晴らしさなんですね。
外国人観光客の皆さんがどうしてこんなに日本を評価するのか!?何が良くて日本を訪れるのか!?口々に、「日本は綺麗」、「日本の食べ物は美味しい」、「自然が美しい」、「着物姿は夢の世界を覗いたようです」。数えきれない称賛を頂けるのは何故だか本当に分かっているのだろうか?
某国と違い「嘘がない」からでしょう。言い換えれば全てが「本物」なんです。
しかし、心配要因が頭を過ってたまりません。それは、この観光ブームに乗って儲けようとする心があまりにも大きいからです。
日本が何故素晴らしいかは、日本人の心が素晴らしいからです。人間らしい心は人を幸せにします。女性は女性らしく、男性は正義感に満ちその包容力が全ての人の心を開いています。スマホが悪いとは言いませんがスマホの登場で「人の心」が奪われていると言っていいほど残念で仕方ありません。
この「人の心」こそ日本の宝なんですね。浅草で一番早く振袖等着物催行と称し多くの外国人観光客に楽しんで頂いて来ました。
写真を撮ったり、浅草を案内したり、時には日本舞踊を見せてあげたり・・・。お客様の喜び様でいつもその出逢いとやりがいを感じて来ました。
しかし、最近は着物レンタルも多く浅草寺の境内は外国人のゆかた姿で目を見張るものがありますね。ただ、残念なことばかりが目立ち日本の将来が案じられてなりません。
ゆかた(着物)の素材はポリエステルでその柄も奇抜なプリントでいっぱいなのです。
他の事業所がやっていることにとやかく言っているのではなく、日本の良さ、本当の日本の文化を紹介して欲しい。そうでないものは必ず廃れてしまうと懸念するからです。
何も知らない観光客のみなさんはそれが日本なんだと間違った知識を身につけることになることは非常に残念でなりませんね。

先日、勉強の為京都・大阪への視察に出かけてきました。ここでも驚きと残念な気持ちだけが襲って来ました。
着物を着て、刀を持てば「サムライ体験」が出来る!?
形(立ち姿)は心を表すといいますが、本当の姿は心が形となった姿を見せて上げたいんですね。本物を知らない若者が、間違った殺陣をやっても誰も正してあげる者がいない!!
忍者ショーも見ましたが、宙返りが出来れば忍者!?奥の深さや吸い込まれ
るような不思議な「間」に出会うことはまずありません。
写真は京都の某体験館でお弟子さんに形を指導したものですが、ここでも少し足りないのが心です。心を作ることが出来れば「目」に表れます。
目力とはそうしたところから出来あがるんですね。写真の女性は日本舞踊を習っているので形はとても美しい。観る者を感動させる秘訣はこの「美しさ」にあると言って過言ではありません。
私共の教室に若者の男性が何人か日本舞踊を習いにお稽古に通っていますが、剣を持つ前にまず日本舞踊に触れ、仕草等を会得しなくてはとても人に魅せるまでには行きません。
これをこだわりと言うのならこの「こだわり」こそ日本文化伝統を広める上で一番重要なんではないかと思います。

日本の伝統を紹介するのは流行りごとではありません。礼節を重んじ、感謝の心がそこにあり、人を思いやることが出来て初めて「日本の心」と言えるのではないでしょうか!!
日本が素晴らしいとやってくるのは、きっとこの心に触れることが出来ると思うからです。
まもなく東京オリンピックが開催されますね!この時期に何が何でも儲けたいと便乗商売に走る人が居たとしたら、一時的なことで日本を台無しにしないで欲しいと願わずにはおられません。
波島陽子の振付作品が、日本国内は元より諸外国の皆様にも大きな評価を頂いているのは、この「日本の心」があるからなんですね。
日本の伝統文化に関わる者として、そうした「こだわり」をもって歩き続けたいと思います。
来年12月に、神田明神境内にとてつもない素晴らしい体験館(仮称)というビルが完成します。全館日本の伝統文化を体験できる施設が誕生する訳ですが、その地下1階に夢のような
大舞台が完成します。
この舞台は毎日毎日日本舞踊や殺陣のショーを観たり、体験したりできる素晴らしい舞台となります。日本で初めての演出技術も採り入れるこの舞台は多くの皆さんの注目を浴びることでしょう。
波島陽子社中が日本舞踊を担当しますが、「あそこ(神田)に行けば素晴らしい舞台を楽しめる・・・」、そんな話題が全国に、全世界に広まることを祈っています。

時代がどんなに変わっても、人の心が変わることの無いように日本舞踊も美しい舞をお見せできるようにしたいと思っています。
この会場に来れば、いかに日本が素晴らしいか、楽しみにして頂きたい。

 

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