10月30日に行われた「波島陽子芸能生活30周年」の舞台。
私は舞台制作に関わって35年以上の経験を持ちますが、これほど心に響き感動した舞台は
初めてでした。
浅草雷門の波島教室には現在約80余名の生徒さんがそれぞれの夢(目標)を持ってお稽古に通っています。波島が舞台女優ということもあってお稽古場は役者やタレント・歌手・ダンサー・マジシャン等々のプロ軍団も少なくありません。
素晴らしい日本なのに、素晴らしい日本の伝統があるのに、素晴らしい心を持ちながら昨今はみな消化不良状態な感じがしてなりません。
波島教室では、10年も前から外国人の観光客の皆さんに「日本舞踊」や「振袖」「着物体験」等をやって来ました。みなそれぞれ「日本は美しい!」と言います。「日本の食事は最高!」・・・と言います。私の見解は「日本人の心が美しい」からなんだと確信しています。

波島陽子がこだわり続けていることがこの「美しさ」ということです。
公会堂の舞台は勿論発表会ですからみな素人さんです。素人の舞台なのになんて美しいんでしょう!!はご来場頂いた殆どのみなさんの意見でした。この「感想文」があまりにも多かったので波島教室のホームページに「お客様の声」として掲載させて頂きましたがその反響の大きかったこと。
あるお三味線の先生が、「私も沢山の舞台を見て来たけど、今回の波島先生の舞台・会場内の温かかったこと」・・・、これほど嬉しい感想は無かったですね。
写真は舞台の最後に披露した「人形の恋」の1シーンですが、この作品で本当に多くのお客様が涙しました。お弟子さんも舞台の袖で目頭を熱くしましたとのこと。

古典や日本舞踊も勿論ご披露しましたが、しかし演目の殆どは「新舞踊」です。その新舞踊の特徴が問題なのです。つまり、大衆演劇に観るあの情景とはまた違っていて、それが新舞踊でありながら本当に美しい「日本舞踊」を観ているようです・・・と客席からのため息!
波島陽子の振付け、波島陽子の指導のこだわりがそのままその集大成となって観る人を離さなかったんだと思います。
常々、「綺麗では駄目ですよ!」、「美しい踊りを身につけましょうね!」と一貫しているのが波島教室です。
その結果が今回の大成功に結び付いたんでしょうね。嬉しいかぎりです。前日の舞台稽古に居合わせたカメラマンが、「波島教室は凄い!」と唸りました。
「どうしたんですか?」と聞くと、「いやいや、凄い!リハーサル風景が凄い!」「和やかではあるんだけど皆さん活き活きしていて、一番の驚きは先生(師匠)の怒鳴り声が無いということです」。「他は怒鳴りますか・・・!」の私の問いに「怒鳴るというより威張っていると言った方が正解です」・・・・と。

確かに、日頃のお稽古を見ていても波島が怒鳴る怒るといった風景は誰も見たことないでしょうね!
波島をヨイショしているのではありません。私はつくづく思い当たる節があります。つまり、どんな職場でも、それが学校であっても家庭であってもです。
怒るということは「指導力がないから怒る」が正解でしょう!厳しいのと怒るは別です。
私もいろんな職場を見てきて言えますが、よく上司がときには社長が吠えていました。
それは物事が自分の思うようにならないからです。間違いなく「指導力がないから怒る」が当てはまっています。
今回の舞台で言えば、あれだけ多くの作品に対し、手を抜くなんて考えられません。
これは接した生徒さんが一番良く知っているでしょうね。
出演者がどうしたら喜んでくれるか!出演者の力量に合わせた振付や指導。これには相当な根気が必要になります。根気とは、言い換えれば「愛情」です。
口で言うことは簡単です。みなに平等でみなに愛情を注げる!!
そんな指導を見て、この舞台にはこれが似合うと取り組んだのが各出演者への台本(ナレーション)でした。
結果、「素晴らしかった」の称賛を頂きました。しかし、これが波島の心なんですね。
踊りを教える前に、一人の人間としてこうありたい。圧倒的に女性の多い環境ですが、優しい女性、女性らしさ・・・、そうしたことが身に着いたら大正解ですね。

多くの評価を頂いた波島陽子。そこには、技術を超えた人間としての想いが実りかけて来た証しではないだろうかと喜んでいます。
この舞台でも、一体感の凄さは目を見張るもんがありました。どこかに、波島陽子の人間性に魅かれているんだろうな・・・とおぼろげながら思えるんです。
つまり、人って本当は「素直」なんだ!・・・そう思える瞬間でもあります。

絵に描いたような人ばかりでないのも現実です。そうした環境であっても浮いてしまう人がおりますが、これが自己中心的な性格の災いなんでしょうね!環境が人を育てると言いますが、性格とは難しいものです。
比較的にみなさん若いからいつか分かってくれたらいいな~!!そう期待しその日を待ちたいと思っています。
十人十色ですから難しいですが、ここでも指導しないといけないなら腰を据えたいですね。

表面の美しさではなく、人としての優しさがいつか最高の表現が出来る日を約束してくれるのではないでしょういか!?
この写真1枚見ても、美しさを追求するということの極意がどこにあるか、分かるような気がします。
日本人なのだから、自信をもって自分磨きに邁進してほしいですね。

心の美しさこそ「日本の美」そのものだと思います。
波島が指導する新舞踊!日本舞踊の何ものでもないですね。「実に美しい!」

 

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