よく「本物」という表現をつかいますが、本物ほど難しく本物ほど簡単なものはありません。
外国人観光客のみなさんに「おもてなし」と称して様々なジャンルの様々な内容が氾濫していると言って言いすぎではないでしょう。
勿論、本物にこしたことはありません。外国人がどうして日本にやってくるのか!?
これは原点に帰る必要ありですね。国内でも昔は水上温泉だ熱海だ等々両親について行った当時はどこの温泉場もかなりの賑わいを見せていました。
利用者の嗜好も大きく様変わりしましたが、これは何でも情報が簡単に手に入るようになったのも大きな要因に思います。
私が求人活動していた頃の話です。当時名古屋にいた私は市内の有力業者と組んで岐阜県の高校に求人についてお伺いしたことがありました。
お客様と一緒の夕食会は下呂温泉。お決まりのように幹事が芸者さんを頼む。まだ芸者さんを呼んで食事をするような年令ではありませんでしたが、登場したのは60歳前後のおばさん芸者!!!!
そうです!相当びっくりしたことを覚えています。若くて綺麗な芸者さんをイメージで待っていた私は「ガツ~ン」と一発食らわされた衝撃を覚えています。
ところがとんでもない!三味線は弾く、踊る、歌う・・・です!!時代劇で見たことある・・・などと思いながらその場にいました。
知っての通り、昨今はどの観光地に行ってもコンパニオンを呼んで楽しむ団体旅行!!
全てとは言いませんが、このコンパニオンはただ女性というだけです。鼻の下を長くしたすけべ兄さん向きなんでしょうか!?話しの内容が軽い、芸は無し、あるのは一緒に歌うカラオケくらい!

平成の初め頃、ある仕事をキッカケに私に素晴らしい出会いがありました。
作曲家の「山本直純」先生との出会いです。その後7年ほどで他界されてしまいましたが、どういう訳か亡くなられるまで私は先生に可愛がられたのです。
先生は温泉が好きでよく2人きりで各地の温泉に出向いたものです。
その温泉旅館で必ず呼ぶのが芸者さんでした。私がそこで芸者遊びを覚えることになるキッカケでしたね。
時代劇に出てくるような本当の「芸者遊び」。当時はなにかとっても得をした気分でした。
すなわち、芸者遊びの出来ない芸者さんは呼ばないんですね。
経験の浅い芸者さんは持たないほど先生の遊びには年季が入っていました。

昨今、インバウンド関係の仕事が増え、受け入れ業者は何とか「芸者」「サムライ」等でいろんなコーナーを設け体験して欲しいと企画します。
これは「殺陣」や「日本舞踊」等々他に着付けや様々な体験アイテムを準備しますが、出来るだけ安い金額で仕込みたいとなるので本物には出会えません。

実際に直純先生と旅して得た教訓は「本物の素晴らしさ」それだけです。

波島陽子が独立したキッカケも、一人でも多くの若者に本当の日本の伝統や文化を日本舞踊を通じて伝えたかったからに他なりません。
波島は、とても商売のできる人間でなく、馬鹿がつくほど純粋で本物志向に特化した女性です。

昨年の秋に波島陽子芸能生活30周年(写真)を浅草の公会堂で公演しましたが、まさにあの会場のお客様の評価が波島でした。
つまり、一般のごく普通のお嬢さんたちの発表の場(舞台)なのに、最後までお客様が帰らないという凄さ。
何か、舞台に惹きつける何かがあったとしか言いようがありません。その結果、300通ものメールやお手紙(お電話)が殺到しました。
口ぐちに「素晴らしかった」「感動しました」「私も先生の下で習いたい・・・」、指導者冥利に尽きると思いますがそれが実体でした。
私は関係者だから・・・と思われがちですが違います。YueTubeなどで他の教室の生徒さんや先生の動画を見ますが本当に天と地ほど違うと言って過言ではありません。
これなら300通もの賛辞が寄せられ最後まで帰らない訳だ!!そう思いました。
振付は勿論、全て波島陽子ですが、その作品は新舞踊であってまさに日本舞踊です。波島から手ほどきを受ける生徒さんは本当に幸せだと思います。
先日も台湾の先生がお弟子さんを連れて5名ほどで3日間お稽古して帰りましたが、奄美大島や会津若松等々全国各地からも波島を頼って稽古に来ます。」

それぞれが参加したり主催する舞台、その殆どを今では「波島作品しか踊りません」と豪語。
会場のお客様もその美しさはしっかり受け入れてくださっているようです。

いろんなことを真似する!自分もやってみたい・・・との若者も本当に増えました。
しかし、その殆どにやり抜く根性のようなものが見えません。手に入れたいものを簡単にスマホで探すようなわけにはいかないんですね日本舞踊は。
舞台に立った者なら肌で感じているでしょうが、ここに本物の価値が見え隠れしているんですね。
今の若者は・・・と言うつもりはありません。
しかし、伝統芸を習う前に礼儀作法や積極性、さらに師匠から沢山を学んで欲しいと願っています。
波島陽子の人間性は文化庁に表彰されるべき素晴らしい心根と実力を兼ね備えた人物です。
本物の美しさは心の持ち方が成し得るものです。

若者よ!チャンスだ!盗み取って頂きたい。

 

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