今年のゴールデンウィークは例年になく好天続きで、日本の一番美しい新緑の季節を多くのみなさんが満喫出来たでしょうね。
勿論、世界各国にもこうした新緑を観ることが出来るのかも知れませんが、私の知っている日本のこの目に優しい新緑は言葉では表現できないほどの美しさです。
人の心を癒してくれることは勿論、何か心の美しさに触れることが出来た喜びみたいで格別なんですね。
私みたいな雪国育ちの田舎者は理屈を超えてこの美しさに癒されます。  しかし、本当の新緑の美しさは、実は今ではないんですね! ゴールデンも終わり、一段落した頃に見るあの雨上がりの新緑は心に突き刺さる美しさを魅せてくれます。

私が日本の誇りをときどき口にするようになりましたが、近年は便利さだけが先走りして心を打たれることになかな遭遇しなくなってしまったことへの懸念です。
よく、若者がそうだ・・・と言い放ちますが、実は私の懸念は50代前後の大人(親)にその責任があるようでなりません。
しっかりした礼儀作法は親自身が出来なくなっている実態。損得ばかりを追い、便利さにだけに夢中になってしまった現実。 勿論全てではありませんが、そうで無い人に出会うことの方が実に難しい時代になってしまいました。
仕事柄、私もパソコンを駆使し、昭和育ちとしてはパソコンを使いこなしている方だと思います。 それでも、人一倍手紙は書きます。 メールで済ませたら便利であることは百も承知ですが、やはり手紙がどれほど大切かを誰よりも知っています。

以前、ある縁を頂いて設備会社に勤務していたことがありました。 そこの二代目を次期社長として教育して欲しいと頼まれて引き受けたのですが、難しい集大成を経験して今の仕事へと変わりました。
つまり、「人の心」という部分でしたね。 30名前後の中小企業でしたが、あまりの傲慢な経営の在り方に従業員をかばうことに非常に苦労した経験を覚えています。
人は命令だけでは動かないという典型でしょう。 多くの若者の悩みに正面からぶつかり、従業員に何度手紙を書いたことか知れません。
それはメールで済んだことかも知れません。 或いは直接話すことで諭すことが出来たのかも知れません。 勿論何度も面談を繰り返しました。 その度に彼らは何度も涙を流して私の話を聞いてくれました。
しかし、肝心なときの手紙の効果は何ものにも代え難いものがあったことは経験の中で誰よりも知っています。 この手紙は全てコピーして今も持っています。
ああ!夢中だったんだな~・・・とその時々を思い出しますね。
これはもう無理だ!・・・と判断し手を退いてからもう相当の月日が過ぎました。
たまに当時の若者に会うことがありますが、大切な人材は殆ど辞めてしまったと聞き、私は改めて自分の心の持ち方が正しかったことを再認識しています。
つまり、この景色(写真)を観るように、人は心で動くということです。 現在、縁あって日本舞踊教室を営んでいますが、日本の伝統である「日本舞踊」など更に如実ですね。
着物の袖に手を通したいから日舞を習う! 日本人女性だから日舞を習う!、美しいしぐさを身につけたいから日舞を習う。 役者になりたいから・・・等々その動機は本当に様々です。
そうなんですが、しかし、それにしても時代が変わったな~と思うことはしばしばです。 心あれば礼儀は適う。その通りです。
波島教室は比較的若い生徒さんが多いので、その点非常に責任を感じその指導に余念がありません。 つまり、受け手の責任なんですね!  今の親世代が生ぬるいと言うのであれば、なら自分はどうなんだ・・・! そう思わざるを得ないのです。
お陰さまで日舞を習いたいというだけあって性格の良い若者(じょせい)が多いのには救われます。ところが2年に1度くらいの周期で礼儀を知らな過ぎる御仁に会うのです。
教室の生徒さんだからでなく、ここに親の影響が表れるということですね!
育ちと言ったら言い過ぎでしょうか!?
「仕方ないよ!時代が変わったんだから!」大人までがそう言い放ちます。時代が変わった???!! 時代の責任(せい)になんかして欲しくないですね。
正しい愛情を持っていれば、厳しくも優しい心をもった人間を育てることは出来るんです。

今から30年も前に、田舎で生活していた私にこんな出来ごとがありました。 いつものように営業からの帰り道。旧道を運転しているときのことでした。
学生服を着た高校の生徒でしたが、なんと町の往来を煙草を吸いながら歩いていたんです。
私はすかさず車を止め、「君は高校へ通う学生なんだろう!」「何でですか!?」、学生服を着て煙草を吸いながら歩くことへの注意を促したのです。 これが、制服でなく私服であったら車を止めることは無かったと思います。
彼は私に問いただされて「先生なんですか!!?」「いいや違うよ!」「ならポリ公??」と言われたことを昨日のように覚えています。
「どちらでも無い・・・」と告げると、「じゃ関係ないじゃん!!」となりました。 それでも煙草を止めさせポケットの煙草も捨てさせました。
事務所に戻るとたまたま同じ学校の女子生徒がアルバイトに来ていたので、「夕子!!お前の学校はどうなっているんだ・・・」と言うと、「えっ!そう言ったんですか!? 殴られませんでしたか!?」と言われました。
「そうか!殴られるのか大人が!!」「やりますよ!社長気をつけた方がいいですよ」・・・と。
数えたらきりがないほどのエピソードを持っています。「本に書いたら・・・!」とも言われたことがあります。
子供たちを指導出来なくなった世の中を綺麗事の会議で話しあっても駄目なんです。
年令に関係なく、相手には心で当たれ! 私の長い経験からそう言いきれます。
勿論、分かってくれる若者は少なくありません。でも周りが全てスマホになった世の中の暮し方は想像を絶するほどの難しさなんだと思います。
近所の怖い叔父さんの意味は今では若い親たちでも理解できないはずです。 座頭市の台詞を借りるとしたら、さしずめ「嫌な渡世だな~・・・」となるんでしょうか!?
それでいて、自分は優しくして欲しいとなるんですから身勝手な世の中ですね。 日本をなんとかしなければいけない政治家自身が不甲斐ない者だらけでは良くはなりませんね。
批判したり、文句を言うだけなら同じ穴のムジナでしかありません。 日本人が何故素晴らしい国のトップに挙げられているかをしっかり認識し自分を信じて力強く歩いて欲しいものですね。

「ネット通販で大けがをした」「美味しい話で詐欺にあった」・・・、これらは全て簡単に儲けたり、少しでも安い物を手に入れたかったり等々、心の通わない便利さだけを追った弊害でしかない証拠です。
考えても見て下さい。 本当に美味しいもの、高級な呉服、しっかりした家具、数え上げたらきりがありませんが、良い物を手に入れたかったらそれ相当の金額を払いなさいということです。 素晴らしい店づくりをしようとしたら、それ相当の人材を使わないとそうは成りません。 従って、作り手に問題があるのではなく、買い手側にどれだけ責任があるかです。
無理をすれば必ず事故が起きる。何も今始まったのではありません。 しかし、最高級でも金のかからないものってあるじゃないですか!? そうです。「人の心」です。
皆さん、多くは大きな勘違いをしていますが、世界各国から日本に訪れるその理由は何だかまったく分かっていませんね。 何で日本が素晴らしいのか!? 何で日本に行ってみたいのか!? それは日本人の心が素晴らしいからに他ならないんです。
それが根本から判れば解決や改善は簡単です。 私の経験上、若者だって決して捨てたものではありませんよ。 説けば必ず分かってくれます。 悲しくも理解できないとしたら、いかに長い間負(デジタル)の世界でばかりの環境で過ごしていたかと言うことです。

性格で仕方ないのですが、私は若者に誰隔てなく本気で愛情を注ぐように努めています。
あと何年生きられるかは分かりませんが、そう言っている張本人が模範的な行動で生きてみせるしかないのです。
それでも、自分の都合で去って行く者もいます。 周りの人の方が怒りますが、何故私が怒らないかと言うと、怒るということは恩にきせていることになるからです。
極端に言えば、挨拶無しで去る人も居なくはありません。言いづらいんだろうな・・・とは思いますが正直実に淋しいです。時に虚しくもなります。「ああ!私の接し方がまだまだ未熟なんだ・・・・」そう思い肩を落とすことも正直あるのです。
身近で言えば、家元波島陽子はまだ私の上を行っています。 損得抜きで生徒やお弟子さんに接している姿を観ると、これこそ本当の指導者で文化庁から表彰してもらうべきだ・・・とさえ思います。 「ああ!生徒さんは幸せだな~」は実感です。
日本国中とまではいきません。しかし、せめて自分の接する範囲内の若者たちにその思いが伝わったらな~と。

伝統を、文化を、誇りを持って伝える。 これはこの美しい日本に生れた人なら皆がみな理解出来るのではないでしょうか!?
一年に一人くらい、涙を流して感動してくれる若者に出会えます。 たったその人一人でもこちらが涙を溢れさせるほどの感動を頂くんです。
だから、全て若者が悪い訳ではありません。 心で体当たりしたら相手も心で返してくれる御仁に必ず会えるということです。
目に優しい、いや心に優しい新緑の季節に、もう一度心を奮い立たせて「日本の心」に挑戦してみたいと思っています。

若者が理想や夢を追うことになんの問題もありません。 しかし、自分に偽り、自分の損得だけでは世の中回らないんだと言うことも教える義務があるように思います。
感謝しなさいよ・・・ではなく、言わなくても感謝して頂けるような信念がまだたりないのかな~と思う心の葛藤をここまで綴らせましたが、言わなければ分からない人にどう伝えるか!これはきっとアナログの世界(きもち)で良いのだと思います。
世の大人たちよ! 自信を持って歩こうではないか!! 未来の日本のために。