つくばエキスプレスが開業して10年になるという。 波島陽子も丁度同じ年の会社開設だったことがここで偶然分かった。 10年か・・・! 本当に10年などアッという間の出来ごと。 まあ言い換えれば人間もそのまま10歳年をとるわけだが10年ひと昔というから考えさせられますね。
この「つくばエキスプレス開業10年」の記念公演(ディナーショー)に招かれて最終のリハーサルを終えたところです。
浅草に根を下ろして波島陽子は今年が芸能生活30周年の記念の年でもあります。芸の世界は10年などまだまだ鼻たれとよく言われます。 奥が深いことがそう言わせているんでしょうね。
前にも触れたかもしれませんが、波島も浅香一門の中でお芝居に打ち込み、浅香流を学び、そして花柳・西川流を学んで来ました。
特に日本舞踊の世界が若者には段々と縁遠くなって行くを見ていた波島は、これからの若者の日本舞踊離れに危惧していました。
私どももこの30周年の巡り合わせが教室の2年に1回の発表会とかち合う訳ですが、ここが問題なんですね。
つまり、普通に発表会を開催するとその舞台に立つのに想像を超える参加費用がかかるからです。
「質素に楽しくやりたい」・・・。 この願いで波島教室は今までの発表会は本当に安い費用で開催して来ました。 従ってそこにあるのは安心と笑顔です。
この30周年は特に記念の舞台なので・・・と言っても生徒さんから一般で行う発表会の会費は徴収できないのです。
ご年配の皆さんは「それでは先生がやれないでしょう」と言う。
なんでも、安ければ良いという考えは、あのネット社会と化した若者にはその感覚をおかしくしていると言っても良いのかも知れません。
分かりやすい言い方をすれば、現在非常に観光ブームで、特に浅草のその観光客の数は想像を超えています。
ここが問題なんですね。 どっと押し寄せる観光客に、各企業・各お店の売らんかなの姿勢も半端ではありません。 爆買いがその良い例ですが、観光客の落とす金が半端じゃないんですね。
さて、ここからが本題になります。 爆買いは売り手市場にとって決して悪い訳ではありません。
電気製品にしても、薬局にしても化粧品にしても、日本製品は製品が良いと評価されて売れている訳です。 良いとは安心が第一としてあるからです。
私が言いたいのはその次に問題となる売り方の問題。 旅館やホテルでは良く言われる「おもてなし」の問題。 つまり、質を悪化させてはいけないのです。
波島がお受けする振袖等のお着物体験で言えばこの質が一番問題となって来ます。
つい先日も、振袖を着たい・・・と外国からやって来たお客様が波島教室で振袖に手を通しました。 きっと外国の女性は着物を見るのも触れるのも初めてで質がどうのより安い価格の品揃えで対応されるところが非常に多いのが現状です。
しかし、波島のこだわりはそのまま浅草寺の境内でその真価を発揮します。写真がそれを証明していますが、良い物は美しく、美しいものは魅かれる力を持っているということでしょう。
この日も、多くの観光客に囲まれ、まるで人気スターの登場さながらでした。
振袖を着ている女性はマレーシアからのお客さまですが、あまりの着こなしの良さに周りの観光客は日本人と間違えたのでしょうか!?
私たちがストップをかけない限りこの撮影会は終わりませんでした。 しかし、しばらくはまるで人気スターのような感激に浸れたことには間違いありません。
着る楽しみに加え、見て頂く楽しみがまさにこの醍醐味となって現れるんでしょうね。
勿論素材は絹等の最高品種です。 本物は嘘をつかないことがこんなところにも表れるんでしょう。
他のお店の商品(着物)はその殆どがポリエステルで深みなどは全く無縁です。
つまり、上辺の綺麗では駄目だということですね。
私たちがお世話するこだわりの最たるものが「心」だから必ず相手に伝わります。ここがポイントなんですね。
これは何も催行時の着物の品質だけとは限りません。 ネットで、どこに行けば安いかだけを探し求め、買ったり旅したり。 ここで最高のおもてなしに出会うことは所詮無理に近いものがあります。
勿論デパートで買えば高い。スーパー等で買えば安い。どうしてでしょう。
安ければ薄利多売と言ってここに大きな落とし穴と遭遇します。 デパートは、或いは専門店はその殆どが対面販売です。 スーパーの籠の中でレジとはちょっと違います。
専門家アドバイザーに説明を受け、コーディネートしてもらおうとしたらそれは経費がかかるに決まっています。
昔、私は渋谷の百貨店で衝動買いに近い商品の選び方をしたことがありました。
セーター売り場にそれは気に入った商品があったのです。 そのセーターをそっと胸に当ててみました。 「やっぱり一流デパートは違うな~・・・」とその商品の良さに酔い、プライスに目をやりました。 するとそこには7,000円と表記してあったのです。
「7,000円か・・・」! 意を決し奮発してレジに向かいました。
7,000円のそれは、まるで芸能人が選びそうなオシャレなセーターでさすが東京、そう思ったものです。
今でも覚えていますが、お金を支払う前からこれを着て歩く自分を想像しその喜びや楽しみは頂点に達していましたね。
レジで「ありがとうござます。 それではお客様こちらセイター1点70,000円となり
ます。」・・・・・・・!!!! ななな・・・ななまんえん???
結局汗だくになり断って店を出た経験の持ち主です。 当時私は若かったので7,000円でも奮発したつもりでした(笑) シャバを知った瞬間です。
今は、良い物を安く・・・というキャッチフレーズがあります。 でも、ある程度までいくと「良いものは安くは買えない」のです。 そりゃそうです。
この原理は今でも基本的は変わらないはずです。 私も生産工場に居た経験がありますが、ギリギリ工夫し改善してもやはり良い物を安くは限度があるということです。
例えば、日本舞踊で例えれば、あの教室は安い・・・という人がいます。 まず値段で選択するんですね。 分かりやすい言い方をすれば、極端な言い方、有名な歌舞伎役者さんにお稽古つけて頂くとします。 一般の教室に行くような訳には決していきませんね。 そう言うと分かるのです。
良いものは決して金額で選ぶものではありません。
私は、波島陽子の芸の力に惚れこんだというより、人間性に惚れこんだと言った方が正しいと思っています。
特に、日本舞踊なる日本の伝統文化は心で表現するものであってその極意は口でなど語れるものではありません。
波島の夢だった振付作品の評価はこの10年で本物と評価に値するまでになりました。
それは全国の波島作品愛好者の感想でハッキリしています。
本物は高い・・・と言いました。 なのに波島は尚安価な価格で提供し続けています。
これはもう「商売」という域から外れています。
多くの人に普及したい・・・! この思いがそうさせている典型です。
教室に入ってみないと分からないと思いますが、生徒さんに対する思いやりや優しさは他に類を見ることが出来ません。
生徒さんの殆どが辞めて行かないのはそこに理由があると確信しています。勿論原点は踊りが上手い、つまり美しい・・・でなければなりません。
冒頭でご案内した「つくばエイキスプレス」の記念の舞台は今回このメンバーで出演させて頂きますが、きっと当日の舞台は圧巻でしょう。
他のチームとどこが、何が違うのか!!? 答えは「心」です。 家元波島陽子は別として、お弟子さんのキャリアは長くて7年です。 しかし、波島社中の違いはただ踊りを披露するだけではありません。プロ志望もおりますが、舞台に上がって芸能活動をしたいと頑張っているのは10人いるか居ないかです。
今回のつくばの記念の舞台も、プロ級を選んだんではなく、波島の心を選んだと言って過言ではないでしょう。
心が綺麗でその表現が素直であれば常にその舞台は新鮮に映ります。 波島は究極のところそこから見える美しさを求めているんだと思います。
特に日本舞踊は美しく表現して欲しい。 それは私も同感です。 従って舞台は綺麗では不合格なんです。 綺麗でなく美しく! 私もそう言い続けています。
しかし、美しく舞うには心が綺麗でないとそれも叶いません。
芸にこだわりが無いと終わってしまいます。 私は指導という技を極めるのに、ほぼ毎日昔の時代劇を観て(DVD)います。
お芝居にみる深みなどは素晴しいものがあります。 私の周りにも沢山の若者が殺陣に取り組んでいますが、私が点数を付けようとして合格の可能性のあるチームはまず見ません。 着物文化の素晴しさ、あの浮世絵に見る妖艶な美しさなどとっても縁遠いものばかりです。
それでも若者はかっこよさに酔い知れ、極めるなど無縁に近いものばかりです。
その若者が時代を創るんだから日本危うしですね。
今回の熊本地震であの熊本城が崩れ落ちましたね。 今、あの石垣や瓦屋根を葺ける職人は皆無に近いそうです。 大手建設業が束になって立ち向かってもあの熊本城は元のようにはいかないと専門家が言っていました。
1607年にすでにあの熊本城建築の技術が合った。 熊本城はご存知加藤清正によって建てられた日本の技術そのものだったのですね。
殺陣を私がやるのではないのでなかなか難しい問題ですが、本物しか生き残れない事を若者に悟ってもらいたい。
本当に、波島が着々と右方上がりに石垣を積み上げているのを見ている様で表現の出来ない喜びを感じます。
社会が崩れていくのは、本物を伝える術を知らない大人の責任なんだと思う。知ったかぶりでは本物に出会えません。 マスターベーションでしか魅力を創れないでこの美しい日本はいつか崩壊してしまうのでは。 これが長いこと本物を追い続けて来た私の見解です。
少なからず、波島教室に通う皆さんはきっと本物に出会う日があるんだなと自分の事のようにファイトが湧いて来ます。
今度の「つくばエキスプレス開業10周年記念」の舞台に間違いなく素晴しい表現をしてくれるものと信じています。
みなさん波島陽子のお弟子さんだからです。 自信を持って舞台に上がって下さい。
■メールでのお問い合わせ