波島陽子芸能生活30周年

本番(10月30日)まで半年を切った!!お稽古場も、公会堂でのお稽古もお弟子さんにその緊張感が伝わって来る。

今年、リオデジャネイロでのオリンピックがあるように、日頃の鍛錬の成果が発表できる場所があるということは非常に大きな意味がある。
波島陽子日本舞踊教室には勿論女優になりたい・・・等プロを目指す若者も少なくない。写真にあるように、教室で学ぶ生徒(弟子)さんは非常に若いのが特徴。
波島が、一人でも多くの若者に日本の文化伝統を伝えたいとする心根は着々と伝わっていて嬉しい。
ここに写っているメンバーはお弟子さんですが決して全てがプロになりたい訳ではありません。それでも、お稽古を通じて舞台に立つ喜びが伝わってきます。
家元が舞台女優である関係で、30周年の浅草公会堂の舞台ではコント風なお芝居も予定していて実に楽しみです。
お芝居の中に踊りを織り交ぜたあのNHKの娯楽歌番組「皆様劇場」のような構成で楽しんで頂こうというものがそれです。

出演者に、プロの殺陣軍団や役者さんも数人入れての内容ですが台本を見ても実に楽しみな作品に仕上がりそう。
素人さんはとても簡単に考えていたようですが一旦お稽古が始まるとその緊張感は半端ではありませんでした。それは求める位置がそれほど低くないからでしょう。
でも、一般の生徒さんがこうした機会を体験できることはとても恵まれた環境と言えます。

たまたま、4月の後半に「つくばエキスプレス開業10周年」という記念式典が浅草ビューホテルで開催されましたが、こうしたディナーショーへも参加出来る力量が着いて来たことは実に嬉しいことです。
国会議員・区長・区議会議員・浅草の各お歴々の皆さんが出席された舞台でのディナーショーもちゃんと役割を果たせるまでに成長してくれています。
嬉しいことはその芸風が実に美しく純然たる日本舞踊を観ることが出来るのも波島流の大きなこだわりのひとつに思えました。

今回の秋の舞台の稽古を通して思うことは、いくら出演者が素人であっても、そこは決して妥協してはいけないということです。
人の性格というものはいろんな場面で顔を覗かせますが、今の若者に一様に言えることは「伝統」ということに非常に希薄だということでしょう。

昨今は、たまたま観光ブームも重なって特に都内では「日本の文化」に関連した体験ツアーが非常に増えて来ました。
茶道・華道・殺陣(武道)・日本料理・着物・そして日舞等々。
これだけネットが普及している世界情勢です。スマホでなんでも簡単に探し、そこへ行くことが出来ます。
浅草でも、「エッ!何で・・・」というお店に列が出来ます。食事処でしたから私も行ってみました。はっきり言ってそれほど美味しいとは思いません。
私が懸念していることの最たる怖さです。

昔、沖縄で「海洋博覧会」が開催されました。私は行ったことはありませんが、
その後、仕事の関係で何十回も沖縄に行く機会があり、現地のタクシーの運転手から聞いた話です。
本土復帰した沖縄にとって、又とない観光のチャンスだったのでしょう。ここぞとばかり儲けようとしたその手法が結果悲惨な結末を迎えたそうです。
ホテルも食事もとにかく高い。夜の商売でもかなりのぼったくり状態でその評判は瞬く間に広がったのです。接客も当然雑になる・・・!!
私は、沖縄の全高等学校へある企業の求人担当者として5年ほど通っておりましたので沖縄の当時の学生がどんな子供たちであったかよく知っています。
明るくてまじめ。特に女性陣の募集でしたのでさほど男子についてはそこまで判りませんでしたが、私の印象では男子学生は根気が無かったかなが大きな印象。

それはやはり、本土とは大きく違っていましたね。
そんな沖縄の印象は今の観光ブームでもとても参考になることが多いですね。

口には、「おもてなし」と称する言葉を前面に出してその対応に追われていますが、人に喜んで頂く原点を間違えています。
しっかりとした伝統を学ぶ心、日本人としての資質を見直す心、そうしたことからおもてなしの原点に辿りつくのですが、浅い知識で「それが正しい」とする若者に改めて危惧することの多いことに気づきます。

誰でもそうですが、人間というものは厄介で「褒められればつけ上がり、叱ればふくれる」と言う現実も否めません。

日本が変わったことのひとつに、「注意してくれる近所のおじさん」が居なくなった。
つまり、怖い近所のおっちゃんが居なくなったということですね。今、よその子供を叱りでもしたら大変なことになってしまいます。
人間の繋がりを欠いた世の中で果たして本当に日本の心を継承することが出来るのでしょうか!?

インターネットを通して集客(商売)できることは素晴しいことです。しかし、反面とてつもなく怖い時代と言えます。
私の理論では、日本舞踊は綺麗ではいけない。美しくないと感動は得られないと言う持論を基に指導しています。
綺麗とはまさに表面的な・・ということ。美しさは飾ることではなく内面、すなわち心の表現なのです。

ネットはまさに「綺麗」が当てはまり美しくはありません。それを使いこなす若者も便利さの活用は上手くなりましたが、それゆえに危険でいっぱいです。
メールで年賀状を出すことは悪くはありません。しかし、伝わりません。
残念ながらその意味さえ判らないんでしょうね(涙)
波島陽子に時々手書きのお手紙が届きます。中身を見ることは出来ませんが、それが誰からかは判るだけに納得です。

勿論、教室に通う生徒さんの殆どが現代っ子です。私はうるさい近所のおっちゃんに成りきれませんが、それでも8割方その想いをぶつけようと思い日々頑張ってい
ます。

プロになりたい・・・と頑張っている若者の芝居(稽古)を見ても残念なことだらけです。つまり、演技の「え」の字にもなっていません。
それで良いとする若者の多いこと。NHKのドラマを観ても、監督の若さなんでしょうかそれとも知識の無さでしょうか!!?上っ面の仕上りを見せてもらっているようで悲しくなります。
天下のNHKでさえそれです。昨年某テレビ局ドラマ班がお稽古場で撮影をしたことがありました。
演技など論外でした!!着付けなどもその基本の無さにただただ驚くばかり!!
つまり、沖縄の海洋博覧会の話しはそこに繋がるんですね。

私はよく、「こんなことでは日本が駄目になってしまう」と言います。 からと言って日本中の人に言えません。せめて、私の身の回りで私が接する若者には伝えたいとうるさいおっちゃんに成りきっています。
いつか、将来に「ああ!良かった」・・・と言ってもらえる自信があります。
殺陣師などと剣を振り回している御仁がとても多く見られますが、本当の立ち姿を是非見せてもらいたいと思う。
残念なことは、外国人相手ならその場ではきっと楽しんで喜んでくれるでしょう!
でもそれは「錯覚」の何ものでもありません。

先日、秋の舞台のお芝居の稽古にある先生にその指導を委ねました。張りつめた緊張感!!初歩的な指導に感動し興奮し緊張する現代っ子!!
でも本物の姿を見たまさにその瞬間だった筈です。日舞しかり、お芝居しかり、少しでも本物に触れ、その良さを体験し学んで欲しいと願うばかりです。

芸の道に進むからではなく、日本の心を大切に、出来れば一人でもその心を理解できて日々の生活に生かせたら日本も捨てたものでは無いんだけど・・・。

波島陽子の下で育った若者が、その成果を発表する浅草公会堂の舞台があと半年もしないうちに開幕です。
本番よりも、お稽古でその意義を理解できるこの機会を大切に、当日は伸び伸びと舞台に上がってもらいたいと切に思います。
その結果はもうはっきり想像できます。日本人として、和の文化、和の伝統を思う存分味わって頂きたい。

今から楽しみで仕方ありません。

 

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