今年は日本とデンマークの外交開始150周年という記念の年を迎えています。
東京都台東区の生徒もその親善大使としてまもなく成田を発ちますが、この指導を家元波島陽子がお引き受けして今年で9年連続となりいよいよ来年は10年目でひと区切りです。
 選ばれた学生は浅草周辺に住む子供たちですが「浴衣」を着るのが初めてですという生徒も少なくありません。 
 着付けやたたみ方を覚えるだけでこの子たちはラッキーでしたね。 日本人として財産になるからです。 
弾けるような笑顔がまた初々しく、きっとデンマークの皆さんに大きな感動を与えてくれるんじゃないかと指導している側もそれだけでも張り合いがあります。
 まだまだ無邪気な年齢ですが、「指導の中」に厳しさや集中力を課題にしながら半ば強引にお稽古を重ねてきました。 明日で5時間の最終時間となりますが、毎年最初はどうなるものかとヒヤヒヤひやひやしながらが本音。
 「指導者(先生)」への話の聞き方、学ぶ姿勢から強烈なパンチを与え、きっと最初は私のことをなんて怖い厳しい先生なんだろうと思ったことでしょう!
学ぶ姿勢、やろうとする気持ちさえしっかり持っていれば上達は早い。 そのこともきっと納得の中で身に着けてくれたことだと思っています。
 特に、芸事は本来2年や3年で身につくものではありません。 彼らはデンマークから帰ると決まって「みんで力を合わせて上手く踊れました」と感想を述べます。
勿論それで良いのですが、彼らは本格的に日舞を覚えて・・・という目的ではなく、デンマークへの親善大使としてその交流の中で「日本の文化伝統」を披露して来ましょうという訳だから・・・。
 それでも、日本の素晴らしさは何でしょう!?  なぜ世界中の人が日本は素晴らしい国だというのかを説いてあげないと・・・・と思い指導に余念がありません。
一番素晴らしいとされる「日本の心」を見てもらいたい。 挨拶の中に、日舞の披露の中で、ホームスティーの際に、「ありがとう」という言葉に込める感謝の気持ち、そして若者らしい「笑顔」。 そんなことを彼らが身に着け現地で行動できたら、本当にそれ以上のことはありません。
 そのことへの達成に向けての行動がチームワークとなり相手に伝わることになるんだと思っています。 学校の行事、つまり運動会等で行うお遊戯等と違い、着物が美しく見える、しぐさや振る舞いに感動すら覚える。 そんな空気が醸し出されたら嬉しいななんて思いながらの5日間(指導)でした。

 何人か集まると本当にいろんな性格の生徒がいて当然です。 明るい性格、おとなしい性格等々本当に様々です。
 今年で9年目になりましたが、家元の指導の補佐役として何を伝えることが効果につながるんだろう! どうすればこの短い5時間で覚えることが出来るんだろう!!

 2年ほど経験した中で、自信を持って早く覚えるコツを考えつきました。 つまり、リラックスする瞬間が必要だと。 中には恥ずかしいと思いながら声も小さいなんて生徒は殆ど。
こちらは時間(指導)が無い!! もう戦いそのものでしたね!
そこで、お稽古に入る前、円陣を組ませ大きな声で叫ばせたのです。
男女それぞれ入交りながらの円陣で肩を組ませ、リーダー役が「頑張ろう・・・」と声をかける。すると頑張ろうに合わせて全員が「笑顔で!!」と叫ぶ。 一瞬にして心がほぐれました。 どこか安堵感のようなものが漂っていたのは確かです。
 この声かけで集中力が現れ全員に笑顔が見えたのは大きいですね。

 研修詰めの毎日。 まもなく解放されますが、この夏休みの研修だけでもひと回りもふた回りも大きく成長したように感ずるのは私だけではないと思います。

 デンマークに何をしに行くのか!! その目的もこの日本舞踊のお稽古を通じて一人一人がしっかりと身に着けてくれたら本望です。
 伝えることの難しさ! 私がそう思うように彼らは初めてこの大仕事に直面する訳です。
相手に伝えることが出来たら合格です。 上手い下手よりも心の問題が分かったら、それだけでこのメンバーに選ばれた甲斐があったと言えるのではないだろうか!?
 うるさいと思っていたかも知れない心境に、「感謝」の心が芽生えたら大成功です。
毎年この時期この子らに指導する波島陽子を観て思う事、なんて根気の良い指導者なんだろう!!  これだけは脱帽ですね。
 持続した集中力に完成が待っている! 5時間で仕上げる業はこれなんですね。 
お稽古場での生徒さんの感想はまさにそうだから! 日本の伝統文化を伝える指導者に最もふさわしい女性と言い切れますね。

 17名の生徒の皆さん!! 自信をもって伝えて来てください。