全国に梅雨明け宣言が下り、いよいよ日本列島は本格的な盛夏へと突入しました。
 昔よく「金鳥の夏」「日本の夏」などとCMでも流れていましたが、まさに日本の夏には
 その風物詩でいっぱいです。
  確かに日本には世界に誇る情緒でいっぱいのような気がします。 勿論、世界にだって
 無いわけではありません。 その違いは日本人にはその風情を愉しむ感性がどの国にも勝
 っているからなんじゃないかな・・・・と思えてなりませんね。
 今だって花火は上がります。ところがどうでしょう!? 自宅で、家族で花火をするなど
 と言った光景は殆ど見なくなりましたね。
 子供の頃は川で真っ黒になるまで遊びました。 自宅に帰ると縁側に蚊取り線香をたい
てスイカをほおばりました。 陽が沈むまで外で遊ぶ子供たち! 私もでした。
帰り道に綺麗な光を放つホタルにも出会います。
 お風呂を上がると寝室には蚊帳が張ってあり、蚊が入らないように素早く入る!!
川の字になって寝る布団の横でおふくろの昔々の話は最高の楽しみでした。
 今都会でこの光景を見ることはまずありません! 勿論田舎に行ってもでしょう。
ベットでも会社へ向かう時でも、どこででも手から離せない「スマホ」が恋人です。
逆に現在ではスマホの無い生活など考えられないのが当たり前です。
もっと言えば、こういう話をしていること自体おかしな人間に見られる時代になったと言
って良いでしょう。
 風情を楽しむとはほど遠い時代になり怖さすら感じます。 スマホが便利なことは百も
承知です。 しかし、この便利さが人間の心を破壊してしまうこともまた確かです。
 便利さの中にいる人に、どんなにこの話をしても偏見に見られるのがオチでしょうね。
今朝のニュースに「あたり屋」の話題がありました。道路を歩きながらのスマホ人間にぶ
つかるというものです。 インタビューしていましたが、スマホを見ながら歩く人間が危
ないというのです。  勿論私も外に出れば5人や10人に会うのは日常茶飯事です。
 交差点で、横断歩道で、買い物途中で・・・・! ぶつかる!! 危ない!!
テレビでは、見ながら人間にもインタビュウしていました。
「私も危ないな!いけないな・・・」と思ってはいるそうです。そうなんだ! でもやめ
られない・・・、中毒ですね一種の。
 これに慣れるとどうなるか!? 会議中でも話し中でも食事中でも相手の話を遮ること
の多いこと。それが悪いとは思っていないのです。
 世界中がそうなっているから異議を唱えたところでどうにもなるわけではありません。
しかし、その瞬間その瞬間大切なものやことを失っていることは確かでしょう。
一番失くしてしまうのは「心」なんだと思いますね。

 日本人が何が素晴らしいかって、私は感じる心、与える心と言ってきました。 自己中
心的な行動(スマホ)で多くを失い、その便利さで風情を感じることさえ出来ないでいる。
なんでも反論というものはあるもので、必ずスマホ愛用者は「そうじゃない」「そんなこと
はない・・・」と言うでしょう。  私はスマホが悪いとは言っていません。 強いて言
えば残念だと言いたいんですね。
 少しナンセンスと言われる出来事を語ってみましょう。 私が30歳前半の頃の出来事
でした。 来年が「酉年」という10月頃のお話です。 イベント制作に関わっていた私は
大手ショッピングセンターに酉年の正月イベント案を出したのです。丁度今頃でしたでし
ょうか!?  「店長!1階の入口に10畳くらいな鳥小屋を作り、その中に様々な鳥を入
れて新年のイベントとしましょう・・・」と提案。 これは裏付けがある訳ではありませ
ん。その殆どが思いつきと言って良いでしょう。頭に浮かぶいろんな種類の鳥を集める。
 店長は「そんなこと出来るのかい!?」でした。 絶対にどこかにいるはずだ!裏付け
はそれだけです。  今のようにインターネットもスマホもありません。 「やりたい」
という店長の決心に行動する勇気(エネルギー)をもらいました。
 場所は田舎でしたからまずは農協に飛び込みました。 そうですね!探し回ること50日
ほどかかったことを覚えています。 集まらなかったらどうしよう・・・と思ったことは
全くありませんでしたね。
 ある農家では「金鶏」、ある農家では「銀鶏」、中には「孔雀」、「尾長鶏」「チャボ」「フ
クロウ」等々嘘のように集まりました。 当時確か全部で20軒くらい借りて回ったよう
に思います。  大きな特製の鳥小屋はそれは見事でした。 鳥たちは面食らっていたの
か不思議なことに喧嘩しなかったですね。 想像してみてくださいこれだけの鳥が集まっ
たら!!
  しかしです。しかし、どうやって集めたんでしょうね! まるで警察の捜査にも似たそ
れはすごい情熱(必ず見つかる)あるのみでしたね。 ネットでは探せない(無いんだか
ら!)探し方を覚えました。 当時は一流ショッピングセンターに出品と言うだけで料金
はタダ(無料)。 ここにも田舎のみなさんの人柄に触れることが出来、その交流から孫が
私の会社に就職するという珍事まで。 スマホで探し、交渉する現代であれば必ず大きな
金額を請求されたでしょう! 人の心の持ち方の違いです。
 お正月に「コケコッコー」と本当に鳴いてくれました。 縁起ものの企画は大成功。
新聞にも勿論テレビのニュースにも扱われその相乗効果にその後の取引きがどうなったか
はお分かりいただけると思います。
 生き物のイベントの大切さは痛いほど知りましたが、交渉時や借りに行く時等々の人間
関係はなかなか経験できるものではありません。
 おそらく、これを今の若者に「探して来てくれ!」と言われたら簡単にすぐスマホでし
ょう。勿論それで良いのだと思います。 スマホの無いことが想像できませんからね。
 便利はそれなりに素晴らしいと思います。 しかし、便利さがあるが故に人の心に入り
込むという経験はまずできないでしょう。 スマホを上手に使い、お礼はお手紙にならな
いのが現代なのです。  親切が「押し売り」と感じる時代です。
 夏の夜に「ほたる」を見たい心境は環境なんじゃないだろうか!? 波島陽子日本舞踊
教室の写真(朝顔・風鈴)ですが、お稽古に来る生徒さんに日本舞踊同様、なにか風情で
あったり情緒を楽しめたらと季節毎の装飾(写真)がこれです。
 人は心、人はそうした風情や情緒を楽しめるようでありたいと願います。日本人なのだ
からね。
 外国の皆さんが、「日本は素晴らしい」と感じるのはそうした目に見えない人の心、すな
わち日本人の心からなんだと思います。
 思いやり等々は原則「便利さ」の中からは生まれないような気がするんですね。

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