波島陽子日本舞踊教室を浅草に開校して早や12年目に突入しました。
夢中でやって来たせいか本当にあっと言う間でしたね。 多くの生徒さんが通うように
なり、それぞれの夢のお手伝いが出来れば・・・は大変な労力ですが、それでも生徒一
人一人が楽しんで通う姿が何より励みになっています。
驚くことは師匠の波島の体力と気力の凄さです。 朝9時から夜9時までの時間内で
生徒さんの都合に合わせてお稽古時間を組んでいる教室はおそらく全国探してもここだ
けでしょう。
波島を知れば知るほどその心の強さ・優しさ、何より健康管理の凄さが分かります。
これは簡単のようでなかなか出来ることではありません。
私は、日舞を習うより師匠の波島陽子のそばにいるだけで学びは多いといつも生徒た
ちに話しているくらいです。
最初、まだ教室を開校する前は全国の日本舞踊愛好者の皆さんに「振付作品(DVD)」
を制作し利用して欲しいと立ち上げたのがポラリスでした。 勿論浸透するまでに3年
はかかりましたね。 このビデオは日本舞踊(新舞踊)愛好者のみなさんがわざわざ
東京までお稽古に来なくても練習できるようにその教材として制作することに決めた
ものです。 それがもうまもなく100曲になろうとしています。
全国に居る日本舞踊では老舗の各流派の先生が購入しそれを生徒さんやお弟子さんに
教えるために利用しているのが殆どですが、インターネットの影響は大きく、その愛好
者は今や一般の人を合わせ4000人を超えたようです!!
決定的な理由は、どの先生が付けた振付けよりも美しく素晴らしいと評価され、発表
会などは「全曲の90%は陽子先生の作品で出演します・・・・」とお便りを頂きます。
一番嬉しいことですね。
前回の浅草公会堂での芸能生活30周年記念の舞台はなんと7時間もの公演でした。
普通は途中で帰る人も多い日舞の発表会。 生徒の発表会なのに帰らない。 そして、
多くの感想が届きました。
私は、それを自慢しているのではありません。 評価はお客様の声だからです。
波島も少しだけ昔の人間ですから、今の若者とは辛抱する部分ややり抜こうとする精
神力は今の若者とはけた違いです。 それでも決して奢ることはありません。
それが振付(作品)の中にとてもよく表れています。
私はたまたまこの秋に日中国交回復40周年という舞台の担当をすることになりま
したが、主宰者は中国人ですからその殆どが中国民族魂と称して中国の伝統芸が多く公
演されますが、その中で日本では狂言師と一緒に日本舞踊で波島陽子が生徒を連れて出
演することになりました。 驚いたのは中国人担当者の考え方や行動です。
おおよそ品格といったような部分では想像を絶するものの考え方です。
いかに日本人が素晴らしいかがこれほど如実に身近で判明したのも初めてでした。
歴史が伝統として、文化として築き上げた素晴らしさはまさに「日本の心」そのもの。
主催者も「民族魂」と主張しますが日本の比ではありません。 特に日本舞踊なるもの
の美しさは最高です。
国民性と言ってしまえばそれまでですが、私の友である中国人は決してそうではあり
ません。 でも平均して何かが違うと考えさせられる多くの事柄に遭遇しています。
それだけに今回の舞台は尚更に日本の良さを知らしめる良い機会ととらえています。
相手を思う心根、つまり思いやりであったり、謙虚さであったり優しさであるものは
全て心であることが本当によく分ります。
一般の仕事でもそうでしょうが、やらない人に限って言い訳をするって言われること
は本当です。 誰もが最初はやりたいと思うから決意を発するのですね。 しかし、
長続きしない若者も少なくありません。 そこに感謝の心なるものが薄れては全くも
って始末の悪いものになってしまう。 これが自分のことなのに気づかないとこれほど
厄介なこともありません。
特に波島は優しいから、損得を考えず尽くすことがとても多い人です。言い換えれば
心を学べる素晴らしい道場でもあるんですね。
自分の決意を全うできない人の言い訳は同時に成長を止めることにもつなっがてしま
います。 まずはそれに気づいて欲しい。
しかし、私もこうした中で本当に勉強をさせられています。 相手に尽くすことを無
駄と思ったら何も出来ませんが、何かを期待するから虚しさに遭うことも少なくないこ
とは確かです。 その期待とは「夢の実現」が叶って欲しいとの願いです。
現在年間約2000人ほどの外国人観光客のみなさんが日舞(着物)体験に訪れます
が、最近は体験終了時に千羽鶴の「一羽」を一人一人にプレゼントしています。
私も初めて発見したのですが、折り紙にも高級品だと「友禅おりがみ」というのがあ
ってそれは豪華で立派です。
1回に最高16名ほどですから準備しやすいのですが、それをプレゼントし続けると
いうことはそれなりに大変ですが喜びの笑顔には代えられません。
日舞を楽しんで頂いたり、体験してもらったりだからそれでいいじゃないか・・・と
も思うのですが、最後に「これからの旅が安全で思い出多いものなりますように・・・
と一羽一羽心を込めておりました・・・」と説明すると歓声が上がります。
企画の内容(約束)からして決してそこまでやる必要などない行為です。
しかし、千羽鶴はもっとも日本らしい素晴らしい贈り物であるとはっきり分かりまし
た。
お稽古をするのも、何をするにも人間である以上心の持つ意味は本当に大きいです。
感謝する心に必ず人と人は結ばれます。 心の交流は愛を育むと言いますが、自分勝手
な中には本当に何も生れませんね。
観る側も見せる側も、教える側も学ぶ側も「感謝」や「謙虚」があって相手に接すれ
ば、それこそがおもてなしにつながるということでしょう。
会社を設立して12年目に突入しましたが、今だから気づくことも少なくありません。
経験と修行で積み上げてきた財産(芸)を更に優しい心で施しに変えているかと思うと、
波島の作品の素晴らしさは本当に頷けるのです。