これぞ芸術

今回は素晴らしい芸術作品をご紹介しましょう。
写真がそれで、「遥かなる山の呼び声」のクライマックスシーンです。
おそらく「幸せの黄色いハンカチ」という作品ならみなさんきっとご存知でしょう。
全てあの山田洋次名監督の作品(映画)です。何故今回綴ろうと思ったかというと、たまたまNHKでこの「遥かなる山の呼び声」が他の俳優によって2回に渡って再放送されていたので是非比較してみたい・・・と。
高倉健と倍賞千恵子の演じた同じ作品がどこまで仕上がったのか・・・!?
辛辣な言い方で本当に申し訳なく思いますが、高倉健を使用した山田洋次監督のコンビの素晴らしさをこの比較によってハッキリ立証された気がします。

勿論、NHKに出演された俳優が悪いのではありません。しかし、同じ脚本でここまで違うことに「芸術の大切さ」を思い知らされた気がしてなりません。

これは山田監督の感性と演出の質の高さ以外ありません。
人間の原点であったり、ふるさとであったり、思いやりであったり、そしてそれが日本の原風景の中で繰り広げられる妙味とでもいうのか、まさに芸術なのです。
山田監督によって制作された民子三部作。 1970年の「家族」、1972年の「故郷」、そして1980年の「遥かる山の呼び声」。

私にとってこの「遥かなる・・・」は「幸せの黄色いハンカチ」以上の作品
となりました。
NHKのそれは山田監督のイメージを外しても違い過ぎました。 監督、そして
おそらく高倉健でないとこの作品は作れなかったんじゃないかと思います。
心の葛藤を繰り返しながらメガホンを持ったに違いありません。

ラストシーン(クライマックス)は、網走刑務所へ送られる汽車の中で、ハナ肇の一言で高倉が目頭を抑えるシーン。100%の観客が涙する計算されていても尚自然な演技。 見事です。
日本の素晴らしさはこの心と言って過言はありません。 インバウンドで嘘のような観光地。 儲けることは悪いことではありませんが、売ることの出来ない心があってこそ「日本」だと思うのです。

高倉健のような俳優はもう出て来ないんじゃないだろうか・・・と思えるほど素晴らしい役者です。
「役者」、つまり心を表現できて役者なんですね。

波島陽子の作品が注目されるのも、きっとそこなんだと思う。
やはり、心を表現できるということは今の時代だからこそ大切なんですね。