観光公害

近年盛んに問題になっているのが「オーバーツーリズム」です。これはもう決して他人事とは言えない状況下にあると言って良いでしょう。
オーバーツーリズムとは、簡単に言えば「観光公害」です。
いや詳しく説明しておきましょう。オーバーツーリズムとは「特定の観光地において、訪問客の著しい増加等が市民生活や自然環境・景観等に対する負の影響を受忍できないほどにもたらした旅行者にとっても満足度を大幅に低下させるような観光の状況」と言ったら分かるだろうか!?

私は浅草に居るからそれを日々肌で感じています。
それが、京都や富士山等々でも市民生活にまで危害を加えかねない昨今。
一体そこにルールは無いのだろうか!?
一番の問題は観光客は金になると様々なお店等が多少のルール違反はと容認しているところでしょう!?
観光客にマナーがなければどうすることも出来ません。
一番ひどい状況を目にしたことがありますが、やっていけないことを破り、迷惑かけても、注意する日本人に「私日本語ワカラナイ・・・!?」と逃げてしまう現実でした!!

観光公害

私どもも十年以上も団体観光客を日本舞踊や着物体験を受け付けてきましたが、今年度から原則全てお断りしています。
その一番の理由は、この一番美しい日本の伝統(日舞・着物)はまずしっかり日本人に伝えていきたいとする願い(もくひょう)をはき違えないことです。
「金になればなんでもあり」、は目を覆いたくなる程沢山あります。
そのひとつがまがい物です。つまり偽物ということです。正しい着物の着付けでないもの、趣旨の違う着物を着せてそれを喜んで着ている外国人。
剣を持てばサムライ・・・とチャンバラごっこで商売をしているもの。情けなくなるより悲しくなってしまいます。

その時はきっと稼げるのでしょう・・・!? それを本末転倒といいます。

もうひとつは客と店を繋ぐ中間業者です。 やっていることを悪いとは言いません。しかし、本来の良さよりも「金になること」の優先が受け入れ側にはよく分かるのです。

最近「ふるさと納税」で斡旋業者、つまり中間業者がポイント還元等の行為を禁止と政府が打ち出しました。もっともです。大切なところが潤うより中間業者が潤うこのやり方に問題があったからです。これも本末転倒です。

競争は大元をいじめ抜いて自分が儲かるだけのことでプランを作ります。
伝統ある日本舞踊や着物という日本の大切な文化を正しく伝えようとすれば費用は掛かります。従って中間業者になど出せないんです。

昨年末に、翌年のプランを旅行業者他斡旋業者から多く頂きましたが、全てお断りしたことに相手は驚きを隠せない様子でした。
でも、それを受けることで本来のお稽古に支障が起きることは生徒さんに対し失礼に当るからです。

私どもで言えば、商売をするのではなく、伝えていく義務感とその責任を正しく果たしていってこそ日本の伝統を守ることになるのだと思うからです。