二十四の瞳

初めてこの映画を観て久しぶりに泣いてしまった。理屈抜きで涙がとまらないのだ!!
そうです、この映画は「二十四の瞳」という作品です。
昭和27年に「壷井栄」によって世に送り出された小説で昭和29年にあの高峰秀子主演で描かれたものです。

「瀬戸内海べりの一寒村」を舞台に、女学校を出て赴任した女先生(大石)とその年に小学校に入学した12人の生徒たちとの触れ合いを軸に日本が第二次世界大戦を突き進んだ歴史のうねりに否応なく飲み込まれていく中での教師と生徒たちの苦難や悲劇を通し戦争の悲壮さを描いた作品なんです。

私は中学の頃「ハイネの詩集」や「サトウハチロウの詩」が大好きでその頃この二十四の瞳を読んだ記憶があります。当時は「森鴎外」の山椒大夫にもはまっていましたね。

私の小学生時代はさすがに写真のような着物ではなくちゃんと学生服でしたが写真のような光景ははっきりその雰囲気もどこかに残っていてよく分かります。

二十四の瞳

教室のこんな光景もよく分かります。学校は温かかった。先生が家庭訪問に来た時の感じを今でも覚えています。
私も小学生の頃は3人の先生がそれぞれ受け持ちでしたが何故か全て女先生でした。
教室には必ずオルガンが有ってその音色も思い出せます。
休み時間になると裸足でグランドに出て擦り傷だらけの毎日(笑)

この映画で描かれている一人一人のエピソード。当時は小学校を出ると奉公に上がる子も。貧乏との戦いに女先生はなんとか勇気づけようと奮闘の毎日。

名場面は子供たちのいたずらで掘った落とし穴に大石先生が落ちて骨折。そのせいで先生はしばらく学校を休むことに。すると、淋しくなった子供たちが先生に会いたいと大石先生の家を訪ねるくだり。こうした心情は今では考えられない行動で遠い遠い先生宅に着いたときはみんな泣きじゃくて・・・。

二十四の瞳

この12人の子供たちは本当に島の子供なんじゃないだろうか・・・!?決してスター性もなくいかにも離島に住んでいる子供たちそのものにしか見えませんでした。子供らしい・・・,それだけに感動も大きかったんでしょうね。

二十四の瞳

この写真は、桜の木の下で「汽車ポッポ」のシーンです。
この映画の凄さ素晴らしさは全篇「童謡」や「唱歌」で物語が進むところです。
「か~らあす  なぜ泣くの・・・」「夕焼け小焼け」「荒城の月」等々
背景や心情にあったこれらの曲はこの映画の生命線でしたね。
日本のわらべ歌や唱歌の素晴らしさを再認識させられる作品でもありました。

若く朗らかな女先生を演じた大女優「高峰秀子」は最高でした。女先生は「大石・小石・・・」と子供たちに呼ばれ・・・、後年「泣き虫先生・・・」になっていく。その年齢差の演じ分けも見事としか言いようがありませんでした。

二十四の瞳

先生に会いに行くシーン。今では描きようのない先生と生徒(こども)たちの
絆でした。 パソコンもスマホも無い時代。心のつながりの素晴らしさにどうしても涙が止まりませんでした。
もし良かったら、是非この「二十四の瞳」を見つけてゆっくりとご鑑賞ください。心洗われますよ。
男の子5人、女の子7人。そして大石・小石・・・・
素晴らしかった。