昭和の童

消雪パイプとは、道路の真ん中に設置され、井戸水によって雪は瞬く間に消えるという代物です!!
雪が降り始めると水を出す。だから冬でも車が通れるといった画期的な出来事だったんです。
何故井戸水かって!? よく質問されました。水道の水は冬は氷のように冷たいため消雪効果はまったくありません。
その点、井戸水はご存知のように冬はとても暖かく即雪は消えるのです。その代わり、夏の井戸水は冷たいんですよ。

今回の物語はこの消雪パイプが無かった頃のお話です。
今でもそうですが、「便利」というものは人間をダメにする凶器に近いですね。
勿論昔から「バカとハサミは使いよう・・・」などと今なら問題発言に近いこと柄もこのネット社会を見てそう思いますね。
便利でない方が人の心は優しかったように思います。

この消雪パイプは当然設置にお金がかかります。私も経験ありますが、井戸を掘るのに500万ほどかかりました!!
私の近所にAさんとBさんの家が2mほど離れて立ち並んでいました。消雪パイプの無い時代は、この2mくらいな間にも当然雪は落とされ、その高さ二階ほどの高さなんてざらです。A宅が雪を落とせば当然B宅の壁に雪は当たります。みんなお互い様でした。
ところが、時代も進みA宅が井戸水の消雪装置を設置。当然A宅の家の周りには雪はありません。
そんな時、B宅が雪降ろしをし、当然多くの雪がA宅にぶつかり積もります。
するとA宅の主人が「俺の家に雪を降ろすな!!!」と!!
家に雪がぶつかったぶつからないで大喧嘩に!!

そんな年の夏の日でした。A宅の主人の魚釣りの竿がB宅の家の壁に寄りかかっていたのです。するとBさんはAさんの釣り竿を「なんで俺の家の壁に立てかかってんだ・・・」とその竿を投げつけたんです。Aさんが激怒しBさんに殴りかかっての大喧嘩!!
「雪国の悲劇」として新聞にまで出ました。丁度消雪パイプが出初めの珍事です。
今では豪雪地帯も主要道路は真夜中に除雪をしどの地域でも車が通れるんですがそれでも奥に行けばまだまだ豪雪です。

便利というのは人の心まで変えてしまう。ネット社会になる前から今の便利を危惧していたのは当たりました。