日本の伝統殺陣

みなさんはこの役者さんを知っていますか!?
そうです。時代劇を牽引した大スター「月形龍之介」です。後にも先にもこれほどの役者さんは居なかったでしょうね。
華やかな主役、大川橋蔵・市川歌右衛門・中村錦之助他時代劇ブームの当時、この月形龍之介が加わることで作品が締る。
そうかと言って、大久保彦左衛門や水戸のご老公を演じたら彼の右に出る者は居ない素晴らしい役者さんでした。
現代は、鬼滅の刃をはじめかっこいい作品を通し殺陣に憧れる者が少なくありません。しかし、それは全てアクションです。
近未来の、いえ今からそのまま宇宙の時代に当てはまるような殺陣。実に悲しい限りで仕方ありません。
時代劇は着物を着ています。その裾さばきひとつ出来ない者がリーダーとなり、全く深みのない絵を作っている!!! 
4年ほど前に勉強の為時代劇のメッカ京都や大阪の殺陣に関わる体験館をいくつか訪れました。
観光客を相手に商売として見せているその光景に唖然としました。撮影所のアトラクションも然りです!!

日本の伝統殺陣

この俳優さんは「中村錦之助」です。一心太助をやらせても、将軍をやらせても、親鸞を、また宮本武蔵を忠太郎を。何をやってもみな映画館で興奮したものです。

勿論、誰が何をやっても自由です。しかし、体験やイベント等商売で、しかも憧れて入って来る団員が食べて行ける前にみな挫折し去ってゆく!!
ましてやることと言ったらチャンバラごっこ。多くのチームを見せてもらい、残念ながらそう言わざるを得ないチームばかりです。
時代背景も知らず、時代考証も知らないリーダーが上辺のかっこよさで剣を持つ。これでは時代劇と言えないというところに気づいていない。
憧れで汗を流し、一番大切な年齢でやむなく社会人として一般のサラリーマンにとなる。
リーダーたちは本当の時代劇に触れたことがあるんだろうか!?
日本舞踊にも流派があるように、どんなやり方でも殺陣は殺陣なのかも知れない。
今、盛んに昭和が良かったと言う人が居ますが、人情があったからでしょう。思いやりや人としての優しさが演技に深みを与えたんでしょう。
自転車もなく草鞋や三度笠の時代はどんなだったでしょう。まさに着物文化の渦中に居てひとつも新幹線でなどという感覚の無かった時代。道中でトウモロコシをへし折って腹を満たし、立ち小便をした時代。剣にはもっと重みがあったはず。

初期の新国劇の頭取であった殺陣師(実在の人物)を題材にした「殺陣師段平」。
「殺陣はわいの命や・・・・」との下り。
日本の時代劇を守り抜きたかったエピソードは時代劇フアンで知らない人は居ないはずです。

「真剣にやって欲しい」という言葉があるが、真(まこと)の剣であって欲しいと願うばかりだ。まがい物を後世に伝えてはならない。それが日本の伝統であり文化なのだから。