本物を創って

平成になって、令和になって、ご存知のようにお芝居(映画・TV)もその質は大きく様変わりしています。
ハッキリ言えば、日本の時代劇は姿を消してしまったと言って良いかも知れません。考えてみたら仕方ないことなのかも知れませんね。しかし、それでは素晴らしい日本の芸能文化を守れない。椅子に腰かけての生活スタイルと畳に座っての生活。そして韓国等のカッコイイと言われる歌や踊りからの変化!!踊りというよりダンスですね。
ギリギリNHKの大河ドラマは何とか・・・と思っていても無理があるんですね。写真は大河ドラマから篤姫を演じた「宮崎あおい」さんですが、頑張って演じていました。脇役にベテランを配しなんとか形を繕うとみな頑張っています。正直、素晴らしかった。
それだけに、頑張って欲しいとの思いは強くなります。

先日、真田広之氏がエミー賞18冠に輝きましたが、「本物」を遺したいとする姿に感動しました。大切なこだわりです。
憧れで「役者」になりたいと頑張っている若者は嬉しいことにとても多く存在します。しかし、その殆どが憧れです。勿論最初は憧れからのスタートは必然ですし良いことです。でも、演者にとっての大切なことは、演じるその時代に魂ごと入り込まないと決して絵になりません。
波島教室で日本舞踊を教えていますが、この教室の特徴でもあり得意は「新舞踊」です。新舞踊は言い替えれば「お芝居」そのものなんですね。
師匠波島陽子の特徴は豊富な時代劇の舞台で本格的に学んだ芸を持っているという点でしょう。
今の時代の目ではなく、時代を知ってその仕草を知り尽くしての表現。
八年ほど前に大舞台でのリハーサルで私はその現場をこの目でハッキリ見ました。リハーサルですから、お客様は当然居りません。お稽古着を着た他の出演者の多くが、波島のリハーサルで涙した現場を目撃したのです。リハーサルでです。お弟子さんたちは素晴らしい瞬間を目にしたことになります。
憧れているうちはダメですね。お芝居は様々な役柄を演じる訳だからその空気を掴めないと浮いてしまいます。ここが若者にはなかなか理解できないところなのかも知れません。
役者は、心を作れてナンボでしょう。それぞれ、自分では出来ると思っている若者が多いのも時代かも知れません。メールよりペンを持つことが出来ない者が観る者を感動させることは出来ないということでしょうか!?
これからの時代を担う若者たちよ、しっかり学んで本物を創って欲しい。仕事柄いつもそう思い続け多くの作品(TVや映画)を観続けています。