不思議な魅力

7月10日、いよいよ秋田の本番まで丁度3ケ月になりました。いろんな意味で、今回ほど先の見えない舞台は生まれて初めてですね。

子供の頃からお芝居がしたくて飛び込んだのが女剣劇で一世を風靡していた淺香光代先生。

先生の門を叩いて正解でした。お芝居がまだよちよち歩きなのにいきなり野川由美子さんの舞台へ立たされたことが懐かしく思い出されます。

今でこそ、女優さんになりたいと多くのみなさんがお稽古場を訪れますが、昔とその様相は大きく様変わりしています。

先生はお芝居が絶頂期で、当時全国の大劇場へは殆ど出演させて頂きました。今でこそその姿はありませんが、新宿のコマ劇場は島倉千代子さん、舟木一夫さん他沢山の経験が出来ました。

芸どころ名古屋は御園座さんや名鉄ホール、中日劇場。思い出しますね。大阪の新歌舞伎座、大阪コマ。北海道から九州まで。勿論海外公演もです。

舞台に上がれば上がるほどその責任を感じたのもその頃でした。つまりお芝居の基本は日本舞踊だということです。

先生のお陰で折角大舞台に立ててもしっかりお芝居しないと。そう思えたのが良かったんでしょうね。

しかも、舞台はだんだんと先生の相手役を務めるようになっていきました。有名な時代劇作家の長谷川伸先生の作品は殆ど演じさせて頂きました。丸暗記した台詞は今でも覚えています。

淺香先生はカッコ良かったですよ。瞼の母なんかはまり役でしたね。華がありました。不思議な魅力こそ本物の役者さんでした。

そんな経験から、及ばずながら夢を実現したい若い皆さんに少しでもお役に立てたらなと頑張っています。