遅い秋もまさに今が盛りです。同じ道(コース)しか歩いていないのに、通る景色は毎日違います。
新緑は勿論ですが、日本の秋の美しさは例えようのない美しさを見ることができます。確かに桜の名所とか、紅葉の名所と言われるところは美しい。
私が、同じコースを歩いていて飽きないのは毎日異なる顔を魅せてくれるからです。いかに自然の力が凄いかですね。
どんどんと時代が変わり、文化の楽しみ方も昔とは大きく変わって来ました。特に日本は世界に誇れる自然があります。考えてみたらこれ等はその頃の茶人であったり俳人であったり、または天下を収めた将軍であったりの感性が美しい日本を築き上げてきたと言って過言ではないでしょう。
私たちはその恩恵の中で心を磨いて来ました。戦争も終わり、インターネット環境が整うまでの間を生きてきた人間。良い時代に育ったと思います。
仕事の関係で多くの若者に接しながら今日までやってきました。昭和の終わり頃は特に多くの若者に囲まれていました。今考えるとその都度若者に人間的で良い心の持てる人間にと思っていたのかも知れません。
まるで雑学の先生のように、時には日本の歴史について、時には全国の特産物について、そしてなんと言っても礼儀作法については時間をかけて心を砕いていました。
その都度、若者たちは「なるほど・・・」と驚きが感謝に変わったようです。心にヒットしたようなお題目の時は、相手が感動している間に必ず私は右手を出したものです・・・。「授業料を・・・・」とひと言添えて!!(笑)
すると決まって「出世払い・・・で」と返って来ます。
浅草のお稽古場でもよく見られる光景です。
特に芸能関係に進もうとする男性に多く見られますが、結果はとても残念です。
他では考えられない好条件で厚待遇を受けた者に多く見られます。
3年も5年も先生は本当にあり得ない愛情で指導してくれます。しかし、残念なのは受けた側の心の持ち方です。私が見ていてもおそらく他でなら50~100万円もするであろう指導料(経験)に対する相手の心根です。
様々な都合でお稽古に来なくなるのは仕方がないにしても、舞台に立たせてもらったり、衣装を無償で貸してあげたとしても全く心が無い・・・という現実。
こうした人間も、私の冗談に「出世払い・・・で」と返していました。
考えてみると、冗談半分にそれでも愛情に気づいて欲しいからです。ハッキリ言って何か見返りにお礼等が欲しい訳ではありません。
つまり、「感謝」の心があれば何かの対応が違う・・・と思うからです。そしてもっと悲しいのは、「出世払いで・・・」と言った人に限って先生に挨拶も無しで辞めてしまう・・・・!!という現実!!!!
こうした若者が自分で事業を起こす。結果はひどいものです。インバウンドというこのご時世に偽物芸を紹介している者も少なくありません・・・!!
粗悪な内容でつまり商売をしている・・・・。女優を目指していた者は結果芽が出ない状況で芸能界とは別の世界に・・・も少なくありません。
進む道が変わり、第二の目標に向け頑張っているんだと思う。私から見て、「女優になれたのにな・・・・」と思える女性(ひと)もです。
自然が美しいのはきっとありのままだからと思うんです。
つまり、「人生は上手くいかないけど、やったようになる・・・」とまとめたら良いのかも知れません。
私も波島も若者の応援団のような気持ちで毎日過ごしています。作らないことの美しさ。 自然体がなにより大事だという事でしょう。
「出世払いで・・・」などと返すのではなく、感謝の心を添えられる心づくりが出来たらその人なりの美しい花が咲くような気がします。
考えてみると、私が「授業料を・・・」と冗談で手を出すのは、貴方の心をのぞき込んでいるんだと思います。
人に愛される若者(せいしゅん)時代を送ってください。素晴らしいことが沢山待っているのだから・・・。