感動を与えてナンボ

 

来年10月30日(日)に波島陽子日本舞踊教室の発表会が決まりました。

 

地元、浅草公会堂での凱旋公演のようなもですね!くしくも、来年は波島陽子が芸能生活を始めて丁度30年の記念すべき巡り合わせとなりました。

ひと口に30年と言いますが、芸一筋によく精進したと感心しています。 芸事は30年や40年はまだまだ雛ッ子と言われますが本当に奥の深いものです。
「30年記念ですよ先生!」と言うと「30年なんかまだまだ序の口でおこがましすぎます」・・・とどこまでも謙虚です。

昭和61年6月1日に秋田より上京し浅香光代に師事。当時の浅香先生は隆盛を誇っていただけに入ってすぐに舞台に立たされたと言いいます。
今考えたら本当に素晴しいチャンスに巡り合えたんだと思いますね。あらゆる下働きから始め、先生についていた為芸事、つまり準備から本番、舞台稽古等々ありとあらゆることが厳しくも新鮮だったのだと思います。

本人の夢は大河ドラマに出演することだったそうです。しかし、しっかりと自分を見つめることの出来た原因は浅香先生の厳しさだったようです。
浅香先生が股旅ものをやると右に出るものが居ないほど圧巻だったと話します。
そんな環境でお芝居や日舞を学ぶ訳ですが、波島本人には相当なこだわりがあったようです。それが「美しい踊り」です。
その為に自分の時間が見つかるとそっと花柳流や西川流の先生のところに日本舞踊を習いに行ったのです。

殆どの皆さんが、「綺麗」・・・とか、「美しい」・・・と表現しますが、波島にはその点素晴しい財産を持っていた様でした。
つまり、その財産こそが美しい心の持ち方にあったんですね!表面を繕うのに、口では何とでも話す人は多くその数五万と居ます。

少しくらい褒められると「自分は上手い」と勘違いするんですね!比較的芸能関係に進みたい若者にその傾向が見られます。
もしかすると、一般的には「美人だね!」とか、「可愛いね!」って言われる者に多く見られます。だから芸能界を目指すんでしょうか!?

先日、ある若者が集まるリハーサルに立ち会いました。
しばらく指導をする中で、私はある質問を投げかけたのです。
「舞台や映画等々でその作品がヒットする要因は何でしょう・・・!!?」と
問うて見ました。5人ほどいた若者からその答えは得られませんでした(涙)。
つまり、そこが分からなくてお稽古を重ねているということです。一瞬怖くなりましたね。

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つまり、どの山(目標)に向かおうと努力しているのか全く分からない、そんな見当違いの日々を送っているということです。
基本が出来た上で更に自分を知る。ここでは憧れが姿を消します。
それで良いのです。みんながみんな主役を演じることは出来ない。すなわちほんのちょい役でもどれほど大切か分からないのです。
この写真の女の子は小学3年生ですが、5歳の頃から積み重ねた日舞のお稽古は嘘をつかず実に見事な舞を魅せてくれます。基本がしっかりしているんですね。

しかし、可愛いだけで作品を選ぶ訳にはいきません。その作品に踊り手本人が合っていなければならないのです。それをキャスティングするのがここでは波島陽子です。大勢いる生徒の作品選びは実に見事です。

冒頭で、美しい踊りと言いましたが、この美しさは外見やお化粧、また着物では決してないのです。
素直で謙虚で感性が豊か、そして優しい心の持ち主であると共にぶれない心でしょうね!優しさとは、決して表面上ではありません。
私共の教室でも長年生徒さんを観ていると、成長著しい生徒とそうでない2通りに分かれます。成長する生徒さんは何と言っても人(ここでは師匠)の話しを本当によく聞きます。集中力があるんでしょうね!
少しくらい上手いと勘違いされるとこれほど面倒なものはありません。
「自分ならこう踊る!!」習っている時期はタブーでしょう!しかし、そこが心の持ち方(性格)の怖さです。
指導者の話しに耳を傾けない訳だから成長はまずありません。つまり、指導の最中に他のことを考えているんですね。
こういう人物は決して上達はしないと断言して良いでしょう!分かりやすい言い方をすれば、それが本当に美しければ女優にでもタレントにでも成れるはずだからです。
オーディションで何回も落ちる人は本当に多くいます。なぜ受からないか本人は分からないから厄介ですね。それほど芸事は奥が深い。
他の者に比べると少し上手いと錯覚する者がいますが実に気の毒でなりません。
踊りにしろ、演技にしろ自分の心に酔ってしまうのでしょうか!!
基本をしっかり身につけて後心の表現を学ぶ。これは波島流の真髄だと話したことがありましたが、これもまた難しい問題です。

つまり、心を表現することの難しさに突きあたりますが、そうでもないことに最近気づきました。
それは前から訴え続けている「謙虚さ」や「素直さ」を持ち合せ、真摯な心で行動できるときその問題は成長へと解決します。

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当教室に仲良し9人組の奥様軍団がおります。
このグループの素晴しいところこそ「素直さ」でした。明るく楽しくそしていつも仲良くが自慢の9人です。
正直、最初お会いした時は目標が高かっただけにどうしましょう・・・と頭を抱えたものです。しかし、その伸びしろの大きさにびっくりしました。
成長の秘訣は彼女たちを見ていて確信にさえ変わりました。素直さだけでは勿論達成は求められませんが、9名の取り組む姿勢も素晴しかったですね。
波島教室の門を叩いてまもなく4年が過ぎようとしています。数々の作品でその成長の跡が入賞とか3位といった成績で証明されて来ました。この気持ちを若者にも伝えたいと強く思っているところです。
つまり、「美しさ」とは、まさに心の表現に他ならないのですね。小手先で見せるやり方は時に綺麗に見えるような錯覚であって、決して「美しさ」にまでは及びません。

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ここに、波島の意を継いで美しく踊れる女性を紹介しましょう。芸事に全く経験の無いところが実に新鮮です。舞うことが好きで好きで仕方ないというとても健気なお弟子さんです。
彼女は、当初から師匠の姿を穴の開くほど見続けたそうです。大鏡に映る彼女の視線が怖いほどだったと言います。間違いなく上達しました。
勿論、まだまだ奥の深い芸事ですが、波島の言う心は感じ取っているらしいです。
全くの素人で「感情表現」に課題はありますがそこが芸事でしょう!
彼女の舞姿には「私は上手い」といった驕りは見えません。しかし、彼女には彼女に課せられたとてつもなく大きな課題があります。
誰にでも勿論様々な課題は山積していますが、そこを乗り越えて初めて舞台で魅せられる演者になれるのです。

来年行われる「波島陽子芸能生活30周年記念」の舞台はその第一関門でしょう。
「わー・・・!大きな舞台で踊れる~」と多くの生徒さんは思っています。若葉マークの生徒さんたちはそれは仕方のないことです。楽しんでくれたら良いんですからそこは全く問題はありません。
私が話したいのは、プロに向かおうとしている若者に対してです。感動を与えてナンボの世界。厳しいのは当たり前でしょう。
先程から言っているように、その勘違い傾向にある若者を何とかしてあげたいと心から思いますね。

溢れんばかりの情熱は誰よりなくてはなりません!時に激しくて良いでしょう!ただ、勘違いだけはして欲しくないということですね。

もっと面倒なのは、プロダクションや劇団、そうした事務所に籍を置く若者です。「私は芸能関係にいる・・・!」という表情や気持ちが鼻に着くほど出て
いて滑稽にさえ思います。
芸事には日本舞踊が必要と感じたまでは良かったのですが、1年とか2年して辞めていくのはそこなんです。自分なりに「そんな筈じゃなかった・・・」と思うんでしょうね!
事務所はオーディションのチャンスはきっとくれるのでしょう!何故受からないか・・・・です。プロはやはり伊達じゃないと言うことでしょう!
そこで自分を知る努力が必要になってくるはずです。2年ほど前まで2年間ほどやはり芸能界の事務所にいた自称「女優」が通っていました。
事務所のマネージャーが同行して来たときは「これはかなり期待できる女性かな・・・」と思いました。どこへ行くにもマネージャーが一緒です。
当時は結構多くのオーディションに行っていたようです。きっと、通行人くらいは役を貰っていたかも知れません。それはお稽古場での実力を見れば判ります。勿論、初めから上手くいくとも思いませんがそれにしても現実はこうした若者を食い物にしている事務所がまだまだあるようですね。
事務所の公演と称し舞台に上がる。もう自分は役者気どりです。何か虚しくも悲しくなって来ます。

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教室はいろんな夢や希望を持った生徒さんでいっぱいです。
結婚や遠距離にならない限り殆どの生徒さんは辞めることはありません。良心的なお稽古場であることは日本一と言って良いでしょう。それが証拠にはお稽古場に笑顔の花がいつも満開であることがその証しでしょう。
優しい心の持ち主は指導者として見事に花を咲かせています。来年の舞台を発表して依頼、喜びと楽しみと不安が入り混じって賑やかです。
波島陽子らしいやり方で一人一人懇切丁寧に教えています。華やかな舞台に立つことが目的ではなく。
心に綺麗な花を咲かせたいと願う師匠の気持ちが伝わって初々しくも素敵な舞台にきっとしてくれるような気がします。
美しい心が持てて初めて感動を与えることを知っている家元にしか出来ない指導のように思えてなりませんね。

決して宣伝をしているのではありませんが、この初々しさは若い女性だからではありません。舞台を観終わって受ける素晴しい衝撃こそ本当の「感動」といって良いと思います。
素晴しかったと出口に向かうお客様の感想こそ本物の「発表会」ですね。

上手い生徒さんも沢山います。恥ずかしがり屋で実力を発揮するにはもう少しの生徒さんも沢山います。しかし、確実に家元の心が伝わった舞台であることが見事です。
平成28年10月30日(日)浅草公会堂がその舞台です。その日に向かって一生懸命な空気って本当に素晴しいですね。
この中から、素晴らしい女優さん!タレントさん!その他とっても素敵なお嫁さんにと人間磨きをしている光景が実に素晴しいですね。

それぞれに違う夢を持った若者たちですが、日本人らしい心を少しずつ少しずつ育てて欲しいと願っています。

 

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